社会・経済ニュース
2014年06月10日号
厚生労働省が5年に1度実施する公的年金の財政検証結果によると、年金保険料を納付する労働力人口の減少を背景に、現役世代の手取り収入に対する年金の給付水準(所得代替率)は2014年度の62.7%から次第に下がり、30年後には50.6%と12ポイントも低下することが明らかになった。政府が2004年の年金制度改革で約束した給付水準の50%を辛うじて維持する見通しだが、経済のマイナス成長に転じれば、一段の悪化が見込まれる。
厚生労働省が発表した2013年の人口動態統計によると、出生数は前年比7400人減少の102万9800人となり、統計を開始した1899(明治32)年以降、3年連続で最少を更新した。1人の女性が生涯に産む子供数を示す合計特殊出生率は1.43と前年比0.02ポイント上昇したが、今後は低下に転じるとみられている。女性が第1子を産む年齢が30.4歳で過去最高となっている。
安倍首相は公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産運用構成で、国債偏重を改め、株式運用比率を高めるよう指示した。GPIFは129兆円の資産を持つ年金基金で、その約6割を国内債券が占め、運用収益の伸び悩みがみられ、株式運用にシフトすることで、高い収益の確保しつつ、将来の年金支給財源を厚くする狙いがある。株式運用にシフトすることで、株価下落による年金資産の目減りリスクも大きくなる側面もある。
警察庁のまとめによると、昨年1年間で認知症が原因で行方不明となり、警察に届け出があった不明者数は1万322人になることがわかった。所在確認までの期間の集計によると、届け出受理日当日が63.3%、2〜7日間が34.4%と、97.7%が1週間以内に確認されている。
最高裁のまとめによると、認知症や知的障害によって物事の判断が十分にできずに第三者に財産管理などを委ねる「成年後見制度」の利用者は2013年末時点で過去最多の17万6564人に上ることがわかった。利用者のうち65歳以上は、男性が67%、女性が87%で、高齢化の進行が利用者増加の背景にある。
内閣府が20〜79歳の男女を対象にした「子育てに関する調査」で、78.7%が「育児や家事の手助けをすることが望ましい」と答え、理想の住み方は「親子と祖父母との近居」が31.8%で最多だった。共働き家庭が増え、孫育てに祖父母の力が必要とされていることが鮮明となった。20〜49歳で結婚している男女に、今後子供を持つ場合の条件を聞いたところ、男女それぞれトップは、女性は「働きながら子育てができる環境」(62.0%)、男性は「教育にお金がかからない」(54.6%)だった。
資源エネルギー庁は6/2時点でのレギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル166円となり、6週連続で上昇していると発表した。原油高で石油元売りでの卸価格引き上げが川下へと波及している。トラックの燃料となる軽油も7週連続で上昇しており、物流コストの押し上げ要因ともなっている。石油連盟では「アジアで指標となるドバイ原油は1バーレル105ドルとなっているが、今後105〜110ドルで推移する」とみている。
政府が閣議決定した「2014年度版自殺対策白書」によると、2013年の自殺者数は2万7283人となり、4年連続で減少した。3万人を割り込むのは2年連続となった。50代の自殺者が半減していることが自殺率減少の大きな要因となっている。ただ、若年層の自殺率の改善が見られず、とくに15〜39歳では7年連続で自殺が死因の1位を占め、20代男性の死因全体の5割以上を自殺が占めた。