社会・経済ニュース
2014年07月22日号
全国知事会は、進展する人口減少は国家的な課題であるとしたうえで初めて「少子化非常事態宣言」を採択し、国に抜本対応を迫った。すでに民間研究機構「日本創成会議」は2040年までに896自治体が消滅する可能性があるとの推計を公表しており、出生率低下が人口減を招くとの危機感を自治体が抱いている。宣言では「少子化は地方から都市へ波及し、国力を著しく低下させる。未来の姿を変えていくことは我々に課せられた使命である」と強調した。
厚生労働省の国民生活調査によると、2012年時点で、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合、いわゆる「子供の貧困率」は16.3%と過去最悪になったことが分かった。同省では、「デフレ経済状況で子育て世帯の所得が減少した」ことが悪化要因を指摘したうえで、母子世帯が10年前と比べて約11万増え、「母子世帯の働く母親の4割以上が非正規就業」で、貧困率の増加につながっていると分析している。
新興5カ国(BRICS)は発展途上国のインフラ開発を支援する開発金融機関「新開発銀行」を設立することになった。米欧先進国主導の世界銀行や国際通貨基金(IMF)の国際金融体制に対抗する狙いがある。基金は1000億ドル(約10兆円)で、中国がその4割超を拠出し、本部を上海に置くこととしており、新興国への支援などの運営面で中国が主導権を握ることになる。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、母子世帯で「大変苦しい」「やや苦しい」の合計が84.8%に達していることが分かった。母子世帯(子どもが20歳未満)の2012年の平均所得は全世帯平均(537万円)の半分以下の243万円で、貯蓄額も263万円で高齢者世帯(1268万円)の2割を割り込む実情にある。
帝国データバンクのインターネットによる調査によると、法人税の実効税率が20%へ引き下げられた場合の減税分の使い道のトップは「内部留保」(20.5%)で、依然、将来の景気悪化への警戒感が根強いことを浮き彫りにした。一方、「給与・賞与の増額」(17.3%)や「設備投資の増強」(14.9%)、「人員の増強」(14.0%)、「研究開発投資の拡大」(5.1%)といった前向き投資を検討している企業は全体の51.3%に上っている。
政府の情報セキュリティ政策会議の発表によると、2013年度の政府機関への不正アクセスは約508万件に上り、前年度の5倍にも急増していることが分かった。サイバー攻撃では特定の組織を標的にした攻撃が増加している。攻撃の手法では、広く閲覧されているウェブサイトに不正プログラムを仕込み、特定の組織がアクセスしたときだけウィルス感染させる「水飲み場型攻撃」が増えているとしている。サイバー攻撃の97%は海外から発信され、とくに中国が多いと指摘している。
厚生労働省の発表によると、2014年度改定の地域別最低賃金で働いた手取収入が生活保護の受給水準を下回る、いわゆる「逆転現象」が5都道県で生じていることが分かった。2013年改定では北海道のみが逆転現象だったが、今年の改定で、宮城・東京・兵庫・広島で新たに生じた。社会保険料の増加で手取収入が減ったことに加え、生活保護費のうち家賃に当たる住宅扶助が増えたことが要因となっている。
連合のインターネット調査によると、在職中の女性が妊娠や出産に伴い職場で解雇や嫌がらせといった「マタニティーハラスメント(マタハラ)」被害を26.3%の人が経験したことがわかった。被害の内訳をみると、「心無い言葉を言われた」が最多の10.3%で、「妊娠を相談できる職場文化がなかった」(8.2%)、「解雇や契約打ち切り、自主退職へ誘導などをされた」(5.6%)が続いた。「マタハラという言葉を知っている」と答えた人は63.2%に上り、昨年から40ポイント以上も増えている。