社会・経済ニュース
2014年10月28日号
財務省は2014年度上半期(4〜9月)の貿易統計で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5兆4271億円の赤字となり、年度上半期では比較可能な1979年度以降で過去最大になったと発表した。原発停止による液化天然ガスなどの燃料輸入額は以前高止まりを続けているのに加え、生産拠点を海外に移転している国内企業の実情が響き、輸出額が伸び悩むという実態を浮き彫りにした。
内閣府の発表によると、中山間地や海に面した農業集落や漁業集落のうち、地震などの災害時に交通が遮断されて孤立の恐れがある集落数は約3割に上ることが分かった。孤立の恐れがある農業集落のうち衛星携帯電話や防災行政無線などの通信手段があるのは48.1%で、医薬品などの備蓄は6.8%、食料の備蓄は7.4%にとどまっており、内閣府では、「孤立したことを知らせるための最低限の通信手段と、急患を搬送するヘリコプターの駐機スペースの確保を」と呼び掛けている。
財務省が実施した新規発行の短期国債(3カ月物)入札で、初めて金利がマイナスとなる、異例の事態となった。通常、国債を発行する国が投資家に利子をつけて販売するが、今回の入札では購入する投資家が逆に利子を負担してでも「国債を買いたい」という異例な応札となった。背景には、銀行が日々の資金調達の担保とするために一定の国債保有の必要性があるものの、昨年4月以降、日銀が市中から大量の国債を購入しており、国債流通量が激減していたことがある。
公益財団法人新聞通信調査会のメディアに関する全国世論調査によると、新聞の信頼感が「低くなった」と答えた人は10.2%で、昨年の5.6%から倍増したことが分かった。朝日新聞での従軍慰安婦報道の一部取り消しや、福島原発事故での吉田元所長の聴取結果の記事の誤りなどが影響したと同調査会では説明している。メディアの情報信頼度の評点では、NHKテレビが最も高い71.1点で、新聞が69.2点、民放テレビが60.2点、ラジオが59.7点、インターネットが54.0点だった。
内閣府が「日本の将来像」をテーマにした世論調査によると、居住地の将来が不安かどうかを尋ねたところ、東京23区と政令指定都市で「不安」が34.3%だったのに対して、町村では58.0%を占め、町村での悲観的な考えの割合が高いことが分かった。不安の理由(複数回答)では、「地域を支える担い手の不足」(55.7%)、「商店街などの賑わいの喪失」(48.0%)、「医療、介護施設の不足」(38.4%)が挙げられた。
中教審は文科相への答申で、小中学校の「道徳」を教科として格上げし、授業を担当する担任が5段階での数値評価ではなく、記述評価とするよう求めた。中心教材として検定教科書を導入するとともに、各地域の郷土資料などの活用も重要であると指摘した。道徳の教科化には、学習指導要領の改定や教科書検定基準の作成などの時間を要するため、教科化は2018年度からとしている。
日本チェーンストア協会の発表によると、9月のスーパー売上高は前年同月比1.0%減の1兆155億円となり、6カ月連続で減少となった。ビールやアイスクリームなどの食料品が低迷するといった天候不順が影響した。衣料品も同2.6%減、住居関連品も1.0%減少した。同協会では「消費税増税後の回復の足取りは重い状態にある」としている。
不動産流通経営協会の消費動向調査によると、首都圏で新築住宅を消費税率8%に引き上げられる前に購入時期を早めた人は57%に上ったことが分かった。購入を早めた人を世代別に見ると、29歳以下が73%、30歳代で66%、40歳代では52%で、若い世代ほど消費税率引き上げを意識した住宅購入を早める傾向がみられた。政府は消費税率引き上げの反動減抑止のための住宅ローン減税を充実させていたが、若い世代は消費税税率引き上げに着目したようだ。