社会・経済ニュース
2014年12月16日号
日銀は12月10日時点での総資産残高は300兆6216億円になったと発表した。初めて300兆円を突破した背景には、市場から長期国債を大量に買い入れているために総資産が膨らんでいる構図があり、その保有残高は昨年3月末時点から2倍超の200兆円となっている。日銀の長期国債の購入・保有は長期金利を押し下げる作用があり、一部エコノミストは現在の利回り0.395%も来秋には0.2%台までに低下すると推測する向きがある。
労働政策研究・研修機構が従業員10人以上の企業約1500社を対象にパートなど非正規の女性向け社内制度を調べたところ、34%の企業が非正規の女性を正社員にする制度を導入していることが分かった。5年前に比べ、19ポイントもの急増で、背景には人手不足感が強まっていることに加え、女性活用を政府が促進していることがある。正社員登用以外にも、結婚や出産で退職した社員を再雇用する制度を設けている企業も17%あった。
12月11日のニューヨーク・マーカンタイル取引所での米国産標準油種(WTI)1月渡しが1バーレル=59.95ドルとなり、5年5か月ぶりに60ドルを割り込んだ。今年7月までは1バーレル=100ドル超の水準で推移してきたが、4割もの大幅な下落となった背景には、米国での「シェールオイル」の増産に加え、石油輸出国機構(OPEC)の11月総会で減産を見送ったことで、供給過剰感が広まったことが指摘されている。
あしなが育英会は奨学金を貸与している高校生を対象にした調査で、高校生になってからアルバイト経験の有無を聞いたところ、36.6%が経験したことがあることが分かった。バイト代の平均月額は3万4784円で、使い道(複数回答)では、最多が「自分の小遣い」(72.0%)だった。また、「通学の交通費や部活などの学校費用」(41.2%)、「学習塾や進学の費用」(9.1%)といった教育関連費用に充てていた人もいた。
リクルートワークス研究所が従業員5人以上の企業を対象とした調査によると、2016年卒の大学生・大学院生の採用を15年卒よりも「増やす」と回答した企業の割合は14.0%で、前年調査より0.7ポイント増加した。同研究所では「円安や原油安で大企業を中心に景気への見方が改善したことと、構造的に人手不足が続くとみて採用意欲が強い」と分析している。16年卒の高校生の採用を「増やす」と答えた企業の割合は8.4%だった。
厚生労働省の11月の労働経済動向調査によると、正社員が「不足している」と答えた企業の割合から「過剰」とする企業の割合を差し引いた労働者過不足判断DIはプラス22となり、39カ月連続で人手不足感が続いていることが分かった。前回調査(8月)から1ポイント低下しているが、ここにきて円安による原材料の高騰で企業収益が悪化するとの思惑が出たとみられるが、人手不足感基調の動きは変わらない。
文部科学省の調査によると、来春卒業予定の就職希望の高校生の10月末時点での就職内定率は71.1%となったことが分かった。5年連続の上昇で、同時期で70%を超えるのは1994年以来20年ぶりとなる。男子の内定率は72.9%、女子は68.3%。都道府県別にみると、87.6%の富山県が最も高く、沖縄県が36.7%で最も低かった。
日本漢字能力検定協会による2014年の世相を1字で表現する「今年の漢字」が『税』に決まった。16万7千票余りの応募総数で1位となった『税』が選ばれたもので、応募理由には消費税率が8%に引き上げられ家計負担が増したことや税金の使途を決める国会議員や地方議員などの「政治とカネ」問題が取りざたされたことが挙げられた。2位は「熱」で、以下、「嘘」「災」「雪」「泣」が続いた。