社会・経済ニュース
2015年02月17日号
経常黒字、過去最少の2.6兆円に
財務省の2014年国際収支速報によると、経常収支の黒字額は2兆6266億円となり、比較可能な1985年以降で過去最少となったことが分かった。経常収支は、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示すもの。過去最少となった背景には、消費税増税前の駆け込み需要で1〜3月の輸入が急増したことに加え、原発事故や円安で火力発電燃料輸入が増大し、貿易収支が10兆3637億円赤字となったことが大きく影響している。

外国人投資家の日本国債保有、過去最高
日銀の発表によると、2014年末の外国人投資家が保有する日本国債の保有高は前年比約12兆円増の約46兆円となり、これまで最高だった2007年(約41兆円)を上回り、過去最高を更新した。外国人投資家の日本国債に対する安全資産として需要が根強いことが背景にある。国債の安定消化には寄与する一方で、海外の保有比率が高まることで、海外の金融情勢などや財政再建が進展しない場合に金利上昇圧力が強まりやすくなるとの指摘もある。

介護保険料、9年ぶりに減額に
厚生労働省がまとめた2015年度介護保険料の推計によると、1人当たり保険料は平均月額5177円になることが分かった。前年度比96円安くなり、9年ぶりに減額となる。2015年度から保険料の分担割合の見直しにより、65歳以上の高齢者負担を増やすため、現役世代の保険料が減った。保険料は介護保険制度スタート時の2000年は月額2075円で、約2.5倍水準にある。

農林水産物輸出額、2ケタの伸びに
農林水産省の発表によると、2014年の農林水産物の輸出額は過去最高の6117億円に上ったことが分かった。円安に加え、海外での日本食ブームに支えられ、前年比11.1%もの増加となった。輸出額の内訳では、農産物が13.8%増の3570億円、木材等の林産物が38.5%増の211億円、水産物が5.4%増の2337億円となっている。一方、昨年の農産物輸入額は3.1%増加し、過去最高の9兆2347億円となった。

来春導入を目指す成果型賃金まとまる
厚生労働省の労働政策審議会は、労働時間ではなく成果で賃金が決定する「高度プロフェッショナル制度」を導入する最終報告書をまとめた。対象を研究開発や金融でぃらーなどの専門職とし、年収要件を平均給与額の3倍相当程度上回ることとし、1075万円以上としている。働きすぎ防止策として、仕事を終えて次に働くまでに一定の休息時間を執る勤務時間インターバルや、年104日以上の休日取得のいずれかを講ずるように定めている。

ネット銀行被害額、昨年比倍増の29億円
警察庁のまとめによると、インターネットバンキング利用者のID・パスワードが盗まれ、預金が別口座に送金される事件の被害額が昨年1年間で約29億1千万円に上ったことが分かった。過去最悪を記録した昨年の約19億600万円から倍増した。個人口座の被害額は前年比1.4倍の約18億2200万円で、法人口座は同11.1倍の約10億8800万円で、法人口座での被害急増が際立っている。同庁は、「基本ソフトやウィルス対策の更新を怠らないように」と警鐘を鳴らしている。

公共工事の契約率7割どまり
総務省がまとめた昨年12月末時点での地方自治体の公共事業の執行状況によると、契約済みは70.5%の16兆465億円となっていることが分かった。団体別に契約済み状況をみると、都道府県69.8%、政令市72.9%、政令市以外の市区町村70.5%だった。都道府県別の契約率で最も高かったのは北海道の85.2%、最低だったのは宮城県の39.8%だった。東日本大震災被災地での資材高騰・人手不足での入札不調を浮き彫りにした。

高齢者への虐待、約1.6万件に
厚生労働省の発表によると、2013年度に高齢者が虐待を受けた件数は1万5952件だったことが分かった。このうち、家族や親族による虐待被害者は1万6140人で約半数が認知症だった。加害者は息子(41%)、夫(19%)が続き、虐待の内容では身体的虐待や心理的虐待、経済的虐待が多く、その背景には介護疲れやストレスが目立つとしている。また、特養老人ホームなどの介護職員による虐待は過去最多の221件に上った。