社会・経済ニュース
2015年05月19日号
来年1月から運用が開始されるマイナンバー制度だが、開会中の通常国会で、制度の利用範囲を拡大する審議が始まった。制度は社会保障と税と災害分野の3分野での利用限定で2年前に関連法が設立しているが、現国会で利用範囲について、金融機関の預金口座、予防接種履歴や健康診断の一部医療分野での適用、戸籍や旅券、医療・介護分野、自動車登録事務に拡げる審議が行われている。
厚生労働省が明らかにしたところによると、長時間労働で酷使し労働者を使い捨てる、いわゆるブラック企業の企業名を行政指導の段階で公表する仕組みを今月18日から運用することになった。公表対象は、社会的影響の大きい複数の都道府県に支店・営業所を持つ大企業で、労働時間や割増賃金に関する明らかな労基法違反があり、時間外労働が月100時間超となる労働者が多数に上るといった悪質なケースで、都道府県労働局から発表される。
財務省が財政制度等審議会分科会に示した歳出抑制の具体策によると、今後10年で小中学校の教職員を約4.2万人削減するなどの具体策が提示された。主な歳出抑制策では75歳以上の窓口負担割合を2割へ引き上げ、後発薬の使用割合を80%に引き上げ、年収850万円超の高所得者の基礎年金の減額、公共インフラの新規投資抑制など、歳出削減メニューが提示された。
消費者庁は全国の消費生活センターなどに寄せられた「自分の個人情報が外部に漏れて悪用されていないか」といった個人情報に関する相談が急増し、2014年度は過去10年間で最多の役5万7千件上ったと発表した。大量の個人情報が流出したベネッセ事件が影響したことに加え、情報の削除を持ち掛けて金をだまし取る詐欺の急増が背景にある。マイナンバー制度の開始を前にしているだけに、個人情報保護への国民の関心は一段と高まると想定される。
消費者庁の推計調査によると、2014年に悪徳商法や誇大広告によった消費者被害額は約6兆7千億円に上ったとする推計値が明らかになった。国内総生産(GDP)の1%に相当。同庁が15歳以上を対象に行なった消費生活に関する意識調査で被害を受けたと回答した割合と、各地の消費者生活センターに寄せられた被害相談の平均額とを掛けて試算したもので、前年より被害額は1割以上増えている。
国税庁はホームページに相続税の申告が必要かどうかを判定する「相続税の申告要否判定コーナー」を開設した。相続税は今年1月の税制改正で基礎控除がこれまでよりも4割縮小され、課税対象者が大幅に増加すると見込まれることに対応したもので、相続税の申告手続きが必要になるかどうかを数字入力で判定する仕組みとなっている。入力結果が一覧となった相続税の申告要否「検討表」も表示・印字できるものとなっており、相続税に不慣れな向きにも便利なツールである。
東京商工リサーチの調査によると、2014年度の9543件の倒産企業のうち、従業員が5人未満の零細企業が6723件で、倒産全体の70.4%を占めたことが分かった。零細企業の倒産が全体の70%超を占めたのは調査開始の1989年度以降で初めて。同社では「事業再生が進んだ中堅・中小企業と、取り残された零細企業とで二極化し、経営が苦しく廃業の選択肢も選びづらい」ことを指摘している。
厚生労働省が2013年度に全国の児童相談所が児童虐待相談で対応した件数が過去最多の約7万3800件に上ることが分かった。件数は児童虐待防止法が制定・施行された2000年度の4倍超となっている。急増の背景には、児童虐待への社会の認識が浸透してきていることに加え、児童道虐待防止法が、当初の「虐待を受けた児童」の発見の届け出の義務化から、「虐待を受けた思われる児童」、「ドメスティックバイオレンスの心理的虐待」も法令で付け加えられたことが挙げられている。