社会・経済ニュース
2015年05月26日号
財務省の発表によると、2014年末時点での政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高は366兆8千億円超となり、3年連続で過去最高額を更新したことが分かった。円安により外貨建て資産の円換算額が膨らんだことが大きく、日本は1991年以来24年連続で世界最大の債権国となり、続く中国(214兆円)やドイツ(154兆円)を引き離している。
観光庁の発表によると、外国人旅行者の買い物の際に消費税が免除される全国の免税店は4月1日時点で1万8779店となったことが分かった。1年前の5777店から一気に3倍超にまで急増した背景には、免税対象が食料品や化粧品を含む全品目に拡大されたことに加え、訪日客の増加での購買需要を取り込もうとする動きが拡がったことが挙げられている。政府は地方での免税店拡大の支援強化方針を掲げており、一段と免税店は増加するとみられる。
5月22日の東京証券取引所第1部の終値ベースでの時価総額が591兆円を突破し、過去最高額を更新した。バブル期の1989年12月に付けた590兆円を25年5か月ぶり更新した背景には、世界的に続く金融緩和政策に加えて、増収増益を続ける日本企業への投資資金が流入していることが挙げられている。市場関係者は「海外投資家が日本株への注目度を高めている」と今後も資金流入の流れが続くと読んでいる。
経済協力開発機構(OECD)は加盟する34か国平均で、2013年の人口の上位10%を占める富裕層と下位10%の貧困層の所得差は9.6倍だったと発表した。所得格差を国別にみると、最も高かったのはメキシコ(30.5倍)で、米国(18.8倍)、ギリシャ(12.3倍)が続いた。日本は2011年に10.7倍となっており、大幅な低下がみられていない状況を考慮すると、OECD平均より高いとみられる。所得格差が拡大している背景には非正規雇用の増加や男女格差がある。
内閣府は1〜3月期の国内総生産(GDP)は前期比0.6%増、年率換算で2.4%増となったと発表した。景気の回復基調にあることを示してはいるものの、本格的な回復の決め手となる個人消費は前期比0.4%と力強さに欠け、依然、内需の改善が遅々としている。設備投資は同0.4%増、住宅投資も同1.8%増と、いずれも昨春の消費税増税後で初めてプラスに転じた。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが正社員の男女3千人を対象にした調査結果によると、正社員のうち管理職(課長以上)になりたいと考えている女性は12.9%にとどまり、大半が「今の役職(非管理職)のままでよい」としていることが分かった。管理職を目指さない理由(複数回答)では、男女ともに「ストレスが増える」(男性49.3%、女性47.2%)が最多で、「責任が増える」「自分には向いていない」が続いた。女性では「家庭(プライベート)との両立が難しい」(27.1%)も際立った。
厚生労働省と文部科学省の調査で、今春卒業の大学生の就職率は96.7%に達したことが分かった。4年連続での上昇で、これまで最も高かったリーマンショック前の2008年春卒に次ぐ水準となり、高卒者の就職率も98.8%で1992年以来の高水準となった。厚労省では「景気拡大を背景に企業の採用意欲が高まっている」と高い就職率を分析している。売り手市場の就職戦線の模様となってきているといえよう。
刑事裁判事件に市民が参加する裁判員裁判制度が開始されてから丸6年間を経過するが、初公判から判決までの平均審理期間が2009年スタート時の3.7日から毎年延び続け、今年3月末時点では9.9日と過去最長を記録することが最高裁のまとめた制度スタートからの6年のデータで分かった。裁判員と補充裁判員として法廷で審理を経験した人はこれまで約5万8千人に及び、開廷回数は4.7回、平均評議時間は751分となり、審理の長期化が進んでいる。