社会・経済ニュース
2015年06月30日号
自民党総務会はゆうちょ銀行の預入限度額を段階的に3千万円に引き上げ、将来的には限度額を撤廃する党特命委員会の提言を決定するとともに、かんぽ生命の現行最大1300万円の保険加入限度額も2千万円に引き上げることについても決定した。ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げは本年9月まで2千万円に、そして2年後まで3千万円にするとしているが、今後、関係省庁が検討するとともに、有識者の意見聴取や国民意見公募が必要となる。
政府は税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度で集積される医療費のデータを活用することで、家族の医療費が一定額を超えた際に税負担を軽減できる医療費控除で添付提出が求められている領収書を不要とする方針を固め、近くまとめる成長戦略に盛り込むことが明らかになった。同制度の個人用サイトである「マイポータル」に医療通知が届くことになり。このデータを税務署に送ることで領収書が不要となる。2017年7月から始めるとしている。
総務省の5月の家計調査によると、全世帯の実質消費支出は1世帯当たり前年比4.8%増の28万6433円となったことが分かった。消費税増税の反動減が一巡したことや勤労世帯での実収入増加、さらに景気回復基調を背景に、14カ月ぶりにプラスに転じた。消費支出の内訳をみると、住居の設備・修繕維持、自動車等購入などの自動車関係費、エアコンや冷蔵庫などの家庭用耐久消費財といった、消費税増税に冷え込んだ支出の増加が目立った。
リクルートジョブの発表によると、5月の三大都市圏でのアルバイト・パートの平均時給は前年同月比1.3%増の966円となり、23カ月連続で上昇していることが分かった。三大都市圏でのアルバイト等の時給は2014年12月と並び過去最高額となった。首都圏だけでみれば、1002円で5か月ぶりに1千円を超えていた。人手不足が背景にあり、とりわけ都心部のコンビニでは夜勤時給を1400円台とする店もあった。
東京使用権取引所が発表した2014年度の株式分布状況調査によると、2015年3月末時点での外国人の金額ベースでの株式保有率は全体の31.7%を占め、3年連続で過去最高額を更新していることが明らかになった。外国人投資家が日本企業の最大の株主となることとなる。日本企業の収益拡大への期待に加え、日銀が維持する追加金融緩和政策を背景に日本株の先高観が強まっていることが要因として挙げられている。
厚生労働省が発表した過労死などの労災補償状況によると、2014年度に仕事上のストレスなどでの「心の病」で労働災害と認定された人は過去最多の497人に上ることが分かった。労災を請求した人も最多の1456人に上っており、同省が2013年国民生活基礎調査で把握している15歳以上の働く人のうち「うつ病やその他の心の病気」で通院している人は約83万人に上っており、「心の病」での労災請求の増加基調は否定できない。
7月から8月までの夏季期間に全国家公務員を対象とした朝方勤務「ゆう活」が実施されるが、参加するのは地方機関の窓口業務などを除いて、全体の4割にあたる約22万人となることが分かった。「ゆう活」は出勤時間と退庁時間を1時間早める取り組みで、早目の退庁時間を有効活用するとともに、長時間労働を抑制する狙いがある。中央省庁に呼応して、17都道県でも実施を表明している。
厚生労働省の推計によると、2025年度に必要な介護職員数見通しは253万人で、現状の増員ペースだとすると38万人不足することが分かった。都道府県別に確保できる見込み人数の割合(充足率)が最も低いのは宮城(69%)で、群馬(74%)、埼玉(77%)が続いた。人数ベースでは、不足数が最も多いのは東京都の3万5751人だった。介護の現場は「低賃金で体力的にきつい」イメージが浸透し、慢性的に人手不足感が強くなっており、人材確保に向けた抜本的な取り組みがともめられている。