社会・経済ニュース
2015年09月29日号
安倍首相は今後の政権運営への取り組みにあたって、経済再生と社会保障の充実に全力を傾ける考えを表明した。首相は「アベノミクスは第2ステージに移り、『1億総活躍プラン』を策定し、2020年に向けて実現に全力を尽くす」とし、経済政策で新たな三本の矢として「強い経済」「子育て支援」「社会保障」を掲げ、国内総生産(GDP)600兆円を実現するとした。
総務省の発表によると、8月の全国消費者物価指数(2010年=100)は前年同月比で0.1%下落の103.4となったことが分かった。日銀が異次元緩和とした2013年4月以来2年4か月ぶりにマイナスに転じたことになり、デフレ脱却の目標としていた2%の物価上昇率へ暗雲が漂い始めた。品目別(価格変動の大きい生鮮食品を除く)にみると、上昇は339品目、下落は131品目で、原油安によるエネルギー関連が下落傾向にあり、円安での輸入価格の値上がりで食料品を中心に上昇した。
総務省の9月25日発表によると、国勢調査でインターネットによる回答の世帯が全世帯の36.9%を占めたとの試算が明らかになった。国勢調査で今回初めてネット回答が導入されたが、同省が目標としていた20%を超えたことになる。ネットで回答した1917万世帯のうちスマートフォンを使っての回答は663万世帯で約3分の1を占めている。未回答世帯には紙の調査票を配布し、10月7日までの提出を求めるとしている。
総務省は65歳以上の高齢者は3384万人となり、過去最多を更新するとともに、総人口に占める割合も26.7%で過去最高となったと発表した。団塊世代の最終年に当たる1949年生まれの人が全て65歳以上になった。国立社会保障・人口問題研究所の推計では2040年に65歳以上の占める割合は36.1%に達する見込みにあり、日本の高齢化は欧米主要7カ国では突出している。また、80歳以上は前年より38万人増えて1002万人となり初めて1千万人を突破した。
日本世論調査会が行った全国面接世論調査によると、58%の人が新規制基準を満たした原発について政府が推進する再稼働に「反対」の意向を示したことが分かった。賛成は37%で反対を下回っていた。反対理由では、「原発の安全対策、事故時の住民避難などの防災対策が不十分」が最も多く、「原発から出る核のゴミ処分方法が決まっていない」などが挙げられた。賛成理由では「電力不足が心配」が最多だった。
就職情報サービスのマイナビは8月下旬時点での来春卒の大学・大学院生の就職内々定率は69.1%になったと発表した。複数の内々定を得ている学生も多く、内々定をもらった社数を尋ねたところ、2社が27.4%、3社以上は27.3%にも上っている。また、同社の調査では内々定を得ていない学生を含め52%が「これからも就活を続ける」としている。今年の就職戦線は、当初、経団連未加盟の中小企業を中心に進んできており、今後、大手企業への就活で中小企業での辞退が危惧されている。
厚生労働省の調査によると、来春卒業予定で就職を希望する高校生の求人倍率は7月末時点で前年同期比0.26ポイント上昇の1.54倍となり、5年連続で改善していることが分かった。1994年3月卒の1.98倍に次ぐ水準となり、リーマンショック前の水準を超えた。同省では「景気回復を背景に多くの業種で企業の採用意欲が高まっている」と分析している。
内閣府の「少年非行に関する世論調査」によると、78.6%の人が少年の非行が増えていると感じていることが分かった。どんな非行が増えたかの尋ねでは「掲示板に犯行予告や誹謗中傷の書き込みをするなどインターネットを利用したもの」が最多で、非行の原因では「スマホやネットなどの普及により少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」が最も多かった。警察庁では「有害情報のフィルタリング(閲覧制限)機能の利用の普及促進を喚起していく」としている。