社会・経済ニュース
2015年10月06日号
戦後最長となった第189回国会では安保関連法の成立を最優先にした国会運営により政府提出の法案の成立率は88%にとどまる結果となった。このため、労働基準法改正案、債券や契約に関する民法改正法案、確定拠出年金法改正法案、取り調べの可視化の義務付けの刑事訴訟法改正案といった国民生活に関わり深い重要法案は継続審議となり、11月上旬に召集される臨時国会へと舞台を移す。
厚生労働省が公表した試算によると、公的年金の保険料の納付に対して生涯で受け取る給付額の世代間格差は、厚生年金で今年70歳となる1945年生まれの人は納付保険料の5.2倍の給付を受け取るのに対し、今年30歳となる1985年生まれの人は同2.3倍で、世代間格差が広がっていることが分かった。国民年金では70歳で3.8倍の給付を受けるのに対し、1975年生まれ(40歳)以降は1.5倍だった。
日銀の9月の企業短期経済観測調査(短観)で、代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)は前回調査の6月時点から3ポイント下落しプラス12となった。3四半期ぶりの悪化となった背景には、中国をはじめ新興国での景気減速や株安があり、日銀では、2015年度で前年度比0.7%、2016年度で1.9%とそれぞれ上昇するとしてきた物価見通しを引き下げる方向で検討している。
国税庁の民間給与実態調査によると、2014年の1年間に支給された給与の平均額は415万円で、前年比0.3%増となったことが分かった。2年連続での増加となり、平均給与額の内訳は、給料・手当が横ばいの353万円、賞与が2.6%増の62万円となっていた。雇用形態別に見た平均給与額は、正規労働者が1.0%増の478万円、非正規労働者(派遣社員等)が1.1%増の170万円だった。また、1年を通じ勤務した給与所得者数は4756万人で過去最多を2年連続で更新した。
政府は10月1日より、国家公務員と地方公務員、私立学校教職員が加入している共済年金を廃止し、厚生年金に一元化することで、公務員ら439万人が厚生年金に加入することとなった。厚生年金加入者数は3966万人に達することになる。これまで給付と負担で公務員優遇との指摘を解消して公平性を確保するとともに、財政規模の安定化を図る狙いがある。保険料率は公務員共済が17.278%で厚生年金の17.828%より低いが段階的に引き上げ、2018年に18.3%で一本化される。
厚生労働省の集計によると、今年4月1日現在、認可保育所や認定こども園などの入所を希望していても入所・入園できない待機児童数は2万3167人に上り、5年ぶりに増加に転じた。待機児童のうち、首都圏や近畿圏の7都府県、政令指定都市、中核市で全体の73.7%を占め、都市部での希望者の急増と施設整備が追い付いていない実態を浮き彫りにしている。アベノミクスの第2ステージで掲げた「新三本の矢」の一つである子育て支援での「待機児童ゼロ」実現への厳しさが伺える。
日銀の9月の「生活意識に関する調査」によると、1年後の景況感は現在と比べ「良くなる」と答えた割合から「悪くなる」を差し引いた指数がマイナス17.8となり、前回調査の6月時点より3.9ポイント悪化していることが分かった。また、1年後の収入については現在より「増える」は1.4ポイント減少した。1年後の物価については現在よりも「上がる」との回答が81.9%だった。
小林製薬が全国の小学生と母親を対象にした「小学生のトイレ実態調査2015」によると、和式トイレが主流の小学校は5年前の78%から54%まで減っていたが、約4割の小学生が和式トイレでは「どうやって使うのか分からない」「うまくおしっこやうんちができない」と回答していることが分かった。このため、約6割の保護者が小学校入学前に、公共施設や商業施設などの和式トイレで使い方の自主練習をしていた。