社会・経済ニュース
2015年10月13日号
政府は実現時期が未定だった法人実効税率20%台への引き下げを2017年度とする方針を固め、年末の税制改正大綱に実施時期を明記するとした。法人実効税率は現在32.11%となっており、20%台にすることで、約5千億円の税収減となると試算されているが、この減税分については、現在資本金1億円以上の企業を対象に課税されている外形標準課税を黒字や赤字を問わずに中小企業にも拡大して課税することを検討する考えだ。
帝国データバンクが中国に子会社・工場や合弁会社を置いていた企業や中国企業と直接取引していた企業を対象に調査したところ、今年1〜9月に中国固有のリスク(チャイナリスク)で倒産した日本関連企業数は59件に上り、昨年1年間の倒産件数の52件を上回っていることが分かった。倒産要因は人件費高騰や為替変動に伴うコスト増が5割超に達し、中国経済の失速が色濃く影響していた。
10月5日マイナンバー法が同日施行され、国民一人ひとりに12桁の個人番号を記した「個人番号通知カード」の簡易書留での発送作業が始まった。送付対象は約5500万世帯にも上り、順次、自治体から発送されるが10月20日頃から11月末に順次届く予定だが、大都市では11月中旬から下旬に届く見通しである。配達時に不在の場合は、1週間、郵便局に留め置かれ、再配達が受けられる。
文部科学省はマイナンバーを活用して奨学金貸与者の年収を把握して、返還額を柔軟に変える「所得連動変換型奨学金」の導入を図るための検討を開始した。現行制度では年収300万円以下だと返還が猶予されているが、総務省のまとめでは30〜50代の約3割が300万円を下回っていて、奨学金の返還が進まずに管理コストがかさむ結果となっている。同省では、マイナンバーと連動する新たな奨学金貸与制度については、2017年度の大学進学者から導入を目指すとしている。
経済産業省がまとめた今夏の電力需給についてまとめたところによると、原発を持たない沖縄電力を除く大手電力9社が今夏の需要ピーク時に供給した電力の内訳は太陽光発電が昨夏の3.7%から倍近い6.4%に占めたことが明らかになった。出力は原発約10基分に相当する1093万キロワットで、太陽光発電の新設が進んだことに加え、日射量に恵まれたことに起因している。
厚生労働省のまとめによると、全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は、前年度比20.5%増の8万8931件となり、初めて8万件を突破し、過去最多を更新した。児童虐待は24年連続での増加となった。増加している背景について、識者は「経済格差や複雑な家族関係、都市化による家庭の孤立がある」と指摘している。都道府県にみると、大阪が最多で、神奈川、東京が続いた。逆に、最も少なかったのは鳥取で、島根、佐賀が続いた。
東京商工リサーチのマイナンバーに関する企業を対象にしたアンケート調査によると、マイナンバー制度で企業に法人番号が付与されるのに伴い、法人番号の理容について「ある程度の内容は知っている」は32%にとどまり、「知らない」(12.9%)、「名称だけ知っているが、利用方法は分からない」(54.3%)に上り、法人番号の利用法の理解が進んでいない実態が明らかになった。
厚生労働省の発表によると、2013年度に全国の医療機関に支払われた医療費の総額が40兆610億円となり、1954年以降で初めて40兆円を突破したことが分かった。前年度比849億円の増加で、7年連続で過去最高を更新している実態にある。背景には、高齢化の加速とともに、医療技術の高度化で費用が膨らんでいることが指摘されている。65歳未満の1人当たり医療費平均は17万7700円だったのに対し、65歳以上は72万4500円と4倍にも達している。