社会・経済ニュース
2016年01月05日号
政府は2016年度予算案を12月24日に閣議決定した。一般会計総額は過去最大の96兆7218億円となり、とくに歳出では社会保障費が31兆9700億円で、政策経費全体額も73兆1097億円といずれも過去最高となった。膨らむ歳出をカバーしているのが、景気回復による税収の増加で新年度は25年ぶりに57兆6040億円を見込んでいる。新規国債発行額は前年度比2.4兆円減の34.4兆円となり、国債依存度は35.6%に低下した。
出版科学研究所の調べによると、昨年1年間に国内で出版された書籍と雑誌の出版物の販売額は1兆5200億円程度となり、前年比約5%減で過去最大の落ち込みとなる見通しになることが分かった。出版物販売額が1兆6千億円を割り込むのは32年ぶりで、ピークだった平成8年の2兆6563億円の6割を下回る水準になる。同研究所では「週刊誌の販売が大きく落ち込むなど高齢者層にも雑誌離れの傾向が伺える」と分析している。
日銀が試算した2020年東京五輪・パラリンピック開催での経済効果は、2014〜20年にかけて累積で25兆〜30兆円になるとの見通しを発表した。試算では、建設投資が会場建設やインフラ整備などを含め、2020年までに総額約10兆円に上り、訪日外国人観光客も現在の増加ペースであれば2020年に3300万人に達し、政府が同年の目標としている2千万人を大きく上回るとしている。
政府の郵政民営化委員会はゆうちょ銀行の預入限度額を1300万円(現行1千万円)程度に、かんぽ生命保険の加入限度額も2千万円(現行1300万円)にそれぞれ引き上げる報告書をまとめた。引き上げが今年実現すれば、ゆうちょは25年ぶり、かんぽは30年ぶりとなる。報告書ではゆうちょ銀行の限度額を1300万円程度にした上で、影響を勘案し段階的に規制緩和するとの表現を盛り込み、さらに追加引上げへの考えをにじませた。
日銀統計によると、外国人投資家の日本国債保有残高が昨年9月末時点で101兆円に上り、国債発行残高1039兆円のうち9.8%の保有シェア率となっている。この1年間で14兆円も増加し、低金利ながらも日本国債への海外マネー流入の流れが止まらない情勢にある。その増勢の理由としてエコノミストは「日銀の異次元緩和によって、日銀の国債大量買いにより、いつでも国債を売却できるとの安心感がある」と指摘する。
厚生労働省の患者調査によると、患者の住まいを訪問して診療する「在宅医療」を受けた人は2014年に1日当たり推計15万6400人となり、3年前の前回調査より約4割も増加していることが分かった。調査開始の1996年以降で最多となった。一方、入院患者の推計数は131万8800人で、前回調査より約2%減少しており、入院から在宅医療へのシフトが進展していることを浮き彫りにした。
気象庁の発表によると、2015年の世界の平均気温が平年を0.4度上回り、統計を開始した1891年以降、2年連続で過去最高を更新していることが分かった。日本の年平均気温は0.63度上回り、1898年以降で4番目の高さになる。世界的な平均気温の上昇の要因として、同庁は二酸化炭素などの温室効果ガスの増加による地球温暖化、南米ペルー沖のエルニーニョ現象を指摘している。
厚生労働省が日本水道協会の水道統計を分析したところ、法定耐用年数の40年を過ぎている水道管は2013年度に約6万8千キロあり、全体の10.5%に達していることが分かった。水道管の老朽化が進みながらも更新が進まないのは水道管の更新工事の原資となる水道料金収入が人口減少や節水機器の普及などで減少しているためとしている。同省ではこのままのペースだと耐用年数を過ぎる水道管は2043年度には全体の56%に達すると予測している。