社会・経済ニュース
2016年01月19日号
内閣府が発表した国民経済計算確報によると、土地や住宅などの資産からは負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は2014年末時点で3108兆円となり、前年から60兆円増加したことが分かった。国富は2年連続での増加となった。内訳を見ると、国民総資産は389.3兆円増加し過去最大の9684.4兆円となり、負債残高は329.3兆円増の6575.9兆円だった。
警察庁は昨年1年間の刑法犯の認知件数は戦後最少の109万9048件だったと発表した。ピークだった2002年(285万件)の4割弱にとどまった。検挙率は前年比1.9ポイント上昇の32.5%で、殺人や強盗などの重要犯罪に限定すると72.3%だった。年齢別摘発人数を見ると、14〜19歳の少年はピーク(2002年)の約14.2万人から約3.9万人に激減し、逆に65歳以上の高齢者は約2.4万人から約4.7万人に倍増し、少子高齢化の影響が見られたとしている。
中国税関総署が発表した輸出と輸入を合わせた2015年の貿易総額は前年比8.0%減の3兆9586億ドル(約468兆円)だったことが分かった。政府が目標としていた年間6%増を大きく下回り、6年ぶりに前年を割り込んだ。内需・外需ともに不振だったことに加え、輸入量は増えた原油などの資源価格が大きく下落したことが影響している。中国の貿易総額がマイナスに転じたのは過去30年間で2度あるだけで、今後、世界経済に与える影響が懸念されている。
資源エネルギー庁が発表した1月12日時点でのレギュラーガソリン(全国平均)店頭価格は1リットル118.9円となり、6年8か月ぶりに120円を割り込んでいることが分かった。原油安が店頭価格に反映された形で、最高値は鹿児島県の129.5円で、最安値は埼玉県の113.1円だった。原油の国際市況は下げ止まりが見えない中にあって、今後もガソリン安は続くとみられ、車が欠かせない地方に恩恵を及ぼすとともに、地方経済の下支え要因にもなるとエコノミストは指摘する。
経団連の調査によると、従業員500人以上の企業での2014年度の年収ベースの1人当たりの平均給与額は563万7千円で2年前から11万4千円増えたものの、社会保険料負担も5万2千円増え、手取り額は6万2千円の増加にとどまったことが分かった。経団連では「企業がコントロールできない社会保険料負担の高まりで総額人件費が増加し、経済の好循環実現の支障になる」と指摘した。
警察庁のまとめによると、昨年1〜11月に全国の警察が受理した110番通報は約842万件で、このうち「緊急性のない通報」は約184万件で、全体の21.9%を占めたことが分かった。具体的な例では「持ち物を失くしたがどうしたらいいか」「一人でいるのがさみしい」といったもので、警察の対応とは無関係なものだった。また、スマートフォンや携帯電話からの通報は全体の69.8%を占め、過去最高となった。
東京商工リサーチのまとめによると、昨年1年間の企業倒産件数は9千件を下回る見通しで、2年連続で1万件を割り込むことが確実になった。企業の借入金の返済猶予に応ずる金融機関が多い事が影響していると同社ではみている。しかし、従業員5人未満の零細企業での倒産が全体の70%を超えており、規模の小さい企業の倒産が足元では続いており、中小・零細企業は依然厳しい状況にある。
警察庁の集計によると、昨年1年間の全国の自殺者数は2万3971人で、6年連続で減少するとともに、18年ぶりに2万5千人を割り込んだことが分かった。最多だった2003年の3万4427人から1万人以上が減少した背景について、同庁担当者は「うつ病について正しい理解を広げるとともに精神科の受診を促したり、多重債務者の相談窓口を整備したりするなどの自殺防止対策の成果が表れつつある」と指摘している。