社会・経済ニュース
2016年05月17日号
日本経済新聞社が2016年3月期決算企業の決算を集計したところ、26%の企業が経常最高益を更新していることが分かった。同社では、インバウンド(訪日客)消費をとらえた鉄道や資源安を背景に恩恵を受けたガスなどの内需系企業が最高益を更新している実状を分析するとともに、一方では円高や新興国の景気減速で自動車などの輸出企業の業績にブレーキがかかっていると指摘している。
東京地裁は定年退職後の有期契約で再雇用された運転手が「仕事内容が変わらないにも関わらず賃金が2〜3割減額された」として起こした訴訟で、賃金引き下げは違法だとする判決を下し、定年前と同水準の賃金を支払うよう命じた。裁判長は判決で「コスト増大を避けつつ高齢者の雇用を確保するために、再雇用後の賃金を下げること自体は合理的だが、仕事内容が同じ場合は賃金格差があってはならない」と指摘した。
国連は移民・難民に関する報告書で、移民・難民数は2015年時点で2000年比41%増加の約2億4400万人に上ると発表した。内戦などによる紛争による難民や貧困といった経済的な事由で出生国から別の国で生活する移民が急増している実態にある。国連の潘事務総長は、移民・難民が受入国の経済発展に一定の役割を果たしてきており、移民・難民の尊厳を守りつつ、各国が受け入れに積極的に取り組むよう求めている。
内閣府が初めて行った育児と介護の「ダブルケア」に関する推計調査によると、ダブルケアに直面している人は全国で約25万人に上ることが分かった。ダブルケアに直面している人の8割が30〜40代で、働き盛り世代を直撃し、最も重い負担がかかっている実態が浮き彫りとなった。少子化や晩産化に加え進展する高齢化を背景に、さらにダブルケアを担う人は今後さらに増加するものとみられる。
厚生労働省は3月の毎月勤労統計調査で、基本給や残業代、賞与などを合計した1人当たりの現金給与総額が前年同月比1.4%増の27万8501円となったと発表した。物価の影響を加味した実質賃金も1.4%増となり、2010年9月以来、5年半ぶりの高い伸びとなった。物価の伸びを賃金が上回ったことで、景気のけん引役でもある個人消費にも好影響を与える可能性があり、同省では「今回の増加幅で推移していくかは注視が必要だ」としている。
国立青少年教育振興機構の調査で、生活習慣が身に付いたり、家庭で手伝いをしたりしている子どもほど、携帯電話やスマートフォンに熱中する割合が低いことが分かった。「朝食を摂る」「家で挨拶をする」などの生活習慣と、「食事中でもスマホが気になる」「特にすることがない時にスマホを操作している」などとのスマホ熱中度の相関を5段階で調べたもので、スマホ熱中度が高い割合は、生活習慣が最も身に付いている層は15%だったのに対し、生活習慣が身に付いてない層は32.6%だった。
連合が大学生や大学院生の子を持つ親を対象にした教育費負担に関する調査で、33.5%が「金銭的負担がネックになり、進学希望を十分に叶えてあげられなかった」と答えていることが分かった。世帯年収が低いほど多い傾向がみられ、「十分に叶えられなかった」としたのは、世帯年収200〜400万円未満の層が61.6%だったのに対し、1500万円以上では17.8%だった。
警察庁は高齢運転者の認知機能検査を強化した改正道交法が成立したことを受け、75歳以上の運転手に臨時の認知機能検査の対象となる「18項目」の違反行為を盛り込んだ道交法施行令をまとめた。認知機能が低下すると犯しやすいとされる「逆走」「信号無視」「一時停止せずに踏切進入」などの18項目の違反があった際に臨時検査を促し、早期発見による事故の未然防止を目指すとしている。改正道交法は2017年3月12日に施行予定である。