社会・経済ニュース
2016年07月05日号
国税庁が発表した2016年1月1日時点の路線価の対前年比変動率は全国平均でプラス0.2%のプラスになった。8年ぶりで上昇に転じた背景には、金融緩和などでの余剰資金や海外マネーが不動産投資に流入し、大都市圏での住宅需要が堅調に推移したことがある。上昇は昨年より4道県増えて14都道府県で、下落は33県となり、大都市圏での大幅な上昇が押し上げる結果となった。
内閣府の発表によると、国が認定した自治体の地域活性化事業に寄付した企業の税負担を軽減する「企業版ふるさと納税」に、全国の6県から9事業、34道府県の83市町村から96事業の申請があった。申請内容をみると、産業振興が最多の76事業で、移住・定住促進が14事業、街づくりが9事業、働き方改革が6事業だった。寄付金の使い道については、自治体が作成した人口減少対策の5か年計画「地方版総合戦略」に盛り込んだ対策に限定される。
年金積立金運用独立行政法人(GPIF)が厚生労働省に提出した財務諸表によると、2015年度の公的年金の積立金の運用損は5兆数千億円に上ることが明らかになった。5年ぶりの運用赤字で、2014年10月から運用割合での株式運用比率を高めたことで、株価下落が反映した形での運用損となっている。英国のEU離脱後、株価が急落する事態に陥り、依然、厳しい運用環境にあり、さらに損失が出ている可能性も否定できない。
総務省の2015年国勢調査「1%抽出速報」によると、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は26.7%となった。調査開始の1920年以来、高齢化率は最高を更新しており、初めて高齢者が4人に1人を超える時代に突入した。高齢化率は2位のイタリア(22.4%)、3位のギリシャ(21.4%)を引き離し、世界で最も高い。また、1人暮らし世帯は過去最多の32.5%となり、65歳以上の1人暮らし世帯も16.8%となった。
大手調査会社のユーカブが英国の欧州連合(EU)を離脱した国民投票の行動を調査したところ、65歳以上の61%が離脱に賛成票を投じたのに対し、18〜24歳の若者は残留が75%に上っていることが分かった。高齢者は離脱を望み、若者が残留を望むといった世代間の違いが際立ったことを浮き彫りにした。「高齢者が私たちの未来を決めた」と怒る若者の一方で、「子どもたちの将来のため正しい選択をした」とする高齢者の声はまさに対局にある。
国立がん研究センターが発表した2012年の1年間に新たにがんと診断された患者は推計で約86万5千人となり、過去最多を更新したことが明らかになった。男女別にみると、男性が約50万4千人、女性が約36万1千人となっている。がん患者が過去最多を更新した背景について、高齢化の進行が原因と同センターでは分析している。部位別にみると、男性は胃がんが最多で、大腸、肺、前立腺、肝臓が続き、女性では乳房、大腸、子宮、胃、肺の順だった。
厚生労働省の調べによると、3月時点での生活保護受給世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯が50.8%を占め、初めて半数を超えたことが分かった。高齢者世帯で生活保護受給世帯は過去最多の82万6656世帯となり、高齢者世帯(約1221万世帯)の約6%に当たる。生活保護受給の高齢者世帯のうち、単身世帯は9割に上った。身寄りもなく、生活保護に頼る高齢者の貧困が深刻化している実態が浮彫りとなっている。
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会は2016年上半期(1〜6月)の新車販売台数は前年同期比4.8%減の254万台になったと発表した。2年連続での減少。とくに、軽自動車は昨年の軽自動車増税の影響に加え、4月に以降に発覚した三菱自動車とスズキの燃費不正問題が響き、13.4%減の90万台にとどまった。軽自動車以外の普通自動車は0.7%増の164万台で、2年ぶりに増加に転じている。