社会・経済ニュース
2016年07月12日号
7月8日の東京債券市場で長期金利の指標となる10年物国債の利回りが過去最低を更新するマイナス0.3%に低下した(国債価格は上昇)。英国のEU離脱に端を発してから、世界経済の不透明感の拡がりから、リスクを回避したいとする投資家が安全資産とされる日本の国債を買う動きが盛んになっていることが背景にある。
最高裁は職場の歓送迎会参加後に、残業で会社に戻る途中で交通事故死した男性会社員の遺族が労災認定を求めた上告審で、労災を認めなかった労働基準監督署の決定を支持した1、2審を覆す判決を下した。最高裁は、上司の意向で歓送迎会に参加した実態は会社側の要請によるものだと判断した。男性はメッキ加工会社の工場に勤務し、中国人研修生の歓送迎会に参加し、終了後、車で工場に戻る途中で事故に遭ったもので、男性は飲酒していなかった。
厚生労働省の有識研究会は、働く人が家族の要介護度が低くても介護休業が取りやすくするために条件を緩和すべきとの報告書案をまとめた。従来、「要介護2から3程度」に該当する父母や配偶者など家族に2週間以上の介護が必要な場合に介護休業を1人つき最長93日間取得できる仕組みだったが、同研究会では、「要介護1」であっても介助が必要とされる場合に介護休業を取得できるように求めている。介護離職者を失くすことを狙いとしている。
日本世論調査会が「五輪・スポーツ」に関する全国面接世論調査で、2020年東京五輪への課題を尋ねたところ(2つまで回答)、最多は「膨らむ経費」(38.6%)で、「新国立競技場建設などで起きている大会準備の混乱」(37.4%)、「日本の競技レベルの向上」(20.5%)が続いた。招致段階での予算では約3千億円としてきた経費は、建設資材の高騰やテロ対策強化などで増える見通しで、膨らむ経費への国民の関心と危惧が浮彫りとなった。
経済協力開発機構(OECD)が公表した加盟各国の「雇用に関する2016年版レポート」で、日本の失業率は最低水準にあるものの、1年以上も仕事も見つからない長期失業者の割合が高いと指摘した。日本の長期失業割合は、OECD加盟国平均(33.5%)や先進7カ国平均(32.1%)を上回る36.0%だった。同機構は、日本ではすぐ仕事が見つかる人と見つからない人の二極化が進んでいると指摘している。
厚生労働省が全市区町村を対象に、国が推進している自宅で最期迎えられる「在宅みとり」について集計したところ、人口20万人以上の都市では8.0%〜22.9%と約3倍の差があり、人口5万人以上20人未満の自治体では約5倍の差があり、自宅で亡くなる人の地域差がみられた。亡くなる場所の全国平均は、自宅が12.8%、病院が75.2%、残りは老人ホームなどとなっている。また、調べでは、人口当たりの病院数が多い地域では、在宅死の割合は低くなる傾向が見られた。
農林水産省の農業構造動態調査で、2016年の農業就業人口が192万2200人となり、初めて200万人を割り込んだことが分かった。農業就業人口は1990年に約480万人いたものの、年々減少が続いてきており、とくにこの10年間は、高齢者の離農が加速してきている。世代別にみると、就業人口全体の5割弱を占める70歳以上は前年比12.5%減少と落ち込みが著しく、他方、39歳以下も前年比16.5%減の約12万人となっている。
転職クチコミサイト「転職会議」が行った新卒入社3ケ月以内で退職した人や退職を検討中の人を対象にした調査で、退職理由で最も多く挙げられた理由は(複数回答)、「時間外労働が多い」(62%)で、「社風・体制に不満」(36%)、「給与が低い、残業代が出ない」(19%)が続いた。若者の3年内離職率が3割、大卒新卒者の1年内離職率も13.1%と依然高止まりを続けているる調査データもあり、同社では、「求職者は不幸にならないためにも厳しく就職先を見極める必要がある」と指摘している。