社会・経済ニュース
2016年10月11日号
国際通貨基金(IMF)の国際通貨金融委員会は声明で「長引く低成長は根底にある構造的な弱さを顕在化させ、潜在成長率と包摂性に対する見通しをさらに低下させるリスクをはらんでいる」として世界経済回復への下方リスクが高まっていることを発表した。その上で、「われわれは全ての政策手段(構造改革・財政及び金融政策)を個別にまた総合的に用いる」として下方リスクへ対応していく方針を打ち出した。
2016年版厚生労働白書によると、介護と育児の両方に同時に直面するダブルケアについて40代以上の45.4%が「身近に感じている」と思っていることが分かった。同省では少子化や出産年齢の上昇が背景にあるとみている。必要な支援を聞いたところ(複数回答)、「介護も育児も相談できる行政窓口」(43.3%)、「介護・育児の総合的な支援サービスが受けられる場所」(33.6%)を上げる人が多く、介護と育児のワンストップサービスを望んでいる。
東京証券取引所の投資家別株式売買状況によると、1〜9月に外国人投資家による日本株の売越額は過去最大の6兆1870億円になったことが分かった。これまで最大だった10月にブラックマンデーが起きて株式市場が不安定だった1987年の約4兆1千億円の売越額を上回っている。エコノミストは「海外投資家が日銀の金融政策への失望感が膨らんだ」「アベノミクスへの期待感が薄らいだ」と、その背景を分析している。
経済産業省の認可法人「電力広域的運営推進機関」の発表によると、4月からスタートした家庭向け電力小売り全面自由化で半年経過した9月末時点で、電気の購入先を大手電力から新電力へ切り替える申込件数は188万4300件となり、電気の総契約数(6260万件)の3%にとどまることが分かった。東京電力が最多の108万件で、全体の半数を占め、都市部での切り替えが目立ち、地方での伸び悩みが見られた。
自民党の農林水産業骨太方針策定プロジェクトチームの試算によると、基幹的農業従事者と常時雇用者を合わせた「農業就業者数」は2010年に219万人だったが、2025年に163万人、そして2050年に108万人に減少し、半減することが分かった。就業者を年代別に見ると、60代以下の層が2010年の124万人から2025年には81万人となり、2050年には60万人に減少する一方、2010年に全体の3%だった85歳以上の人は、2050年には29%まで高まるとしている。
東京商工リサーチのまとめによると、今年1〜9月の「老人福祉・介護事業」倒産件数が累計77件に達し、9月末時点で過去最多となった昨年の通年件数を上回り、年間最多を更新することが確実となった。負債5千万円未満の小・零細規模が68.8%で、設立5年未満が46.7%を占めており、小規模で創業歴が浅い事業者が多い実態にある。原因別にみると、販売不振が全体の約7割近い51件で、安易な起業や事前の準備や事業計画の甘さが想定した業績を上げられずに経営が行き詰ったと分析している。
世界銀行の発表によると、2013年時点で1日1.9ドル(約190円)未満で暮らす「極度の貧困層」は全人口の10.7%の7億6700万人に上ることが分かった。極度の貧困層は2002年に15億人だったが、減少傾向にあり、半減したことになる。世銀によると、極度の貧困層はアフリカのサハラ砂漠以南や南アジアに集中するとともに、17歳以下の子どもが約50%を占めているとしている。世銀は2030年までに極度の貧困をなくす国際社会の目標達成が実現できない恐れがあるとしている。
東京大学大学院の佐々木教授ら共同研究グループの調査で、8.5時間以上の睡眠をとることで、うつや不安のリスクが低くなる傾向が分かった。同研究グループが三重県と高知県の公立中高生の約1万8千人を対象に、集中力や生きがい、ストレスなどを尋ねて、うつ症状を感じている割合と平日の睡眠時間を比べたもので、男子は睡眠時間8.5〜9.5時間の生徒のリスクが最も低く、女子は男子より約1時間短い方がリスクは低い結果となった。佐々木教授は「平均的に8.5時間寝る方がよいことが分かった。親や周囲の大人が保健指導に生かしてほしい」としている。