社会・経済ニュース
2016年11月01日号
総務省は2015年10月の国勢調査の確定値として日本の総人口が1億2709万4745人となり、前回調査の2010年比で0.8%減少したと発表した。国勢調査で総人口が減少したのは初めてで、65歳以上の人口が全体の26.6%を占め、初めて4分の1を超えた。総世帯数は過去最高の5344万8685世帯で、1世帯当たりの人数は前回調査の2.42人から2.33人に減っている。国連推計での総人口は前回と同様の世界10位だった。
文部科学省の2015年度問題行動調査によると、全国の国公私立の小中高と特別支援学校で把握した「いじめ」は過去最多の22万4540件に上ることが分かった。前年から約3万7千件増加した背景について、同省では「積極的に把握に努めたもの」と分析している。いじめの内容では、「冷やかしや悪口」(63.5%)が最も多かった。都道府県別に1千人当たりのいじめ件数で最多だったのは京都の90.6件で、最少の佐賀県の3.5件とは26倍近い開きがあった。
財務省は2016年度上半期(4〜9月)の貿易統計は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が2兆4580億円の黒字となったと発表した。前年同期(約1.3兆円の赤字)から黒字に転換した背景として、東日本大震災による原発事故で火力発電に使われる原油などの価格下落によって輸入額が減ったことが挙げられている。今後、貿易収支の黒字が持続するかについては、中国をはじめとする新興国の経済減速などがみられており、先行き不透明感が指摘されている。
世界経済フォーラム(WEF)が発表した各国の男女格差(ジェンダーギャップ)を比較した今年の報告書によると、日本の男女格差は世界144カ国中111位となったことが分かった。前年の101位から一段と順位を下げる結果となった背景として、日本は教育や健康の分野では格差は小さいものの、経済と政治の分野では厳しい評価を受けていることが挙げられている。報告書では日本について「教育参加などで改善が見られたものの、専門的・技術的労働者の男女比率が著しく拡大している」と指摘している。
財務省が全国の財務局を通じて人手不足に関する企業の聞き取り調査を行った結果、「人手不足を感じている」とする企業の割合は全体の63.2%に上っていることが分かった。とくに、中小企業は74.7%が「人手不足」としており、深刻さを増している。製造業は47.7%が人手不足としているのに対し、非製造業では75.4%を占めた。人手不足の要因として、「募集をかけても集まらない」が最多で、製造業が52.3%、非製造業が71.7%で指摘している。
京都大学健康科学センターの研究グループの調査によると、心停止状態で自動体外式除細動器(AED)の措置を受け、社会復帰した患者が2005年からの8年間で30倍以上増えていることが分かった。同グループが2005〜13年までに全国で救急搬送された心室細動患者について消防庁のデータを基に調べたもので、一般市民によるAED措置使用の有無と、1カ月後の患者の脳機能の回復状態を調べた。
東京商工リサーチが2015年(1−12月)の新設法人調査によると、老人福祉・介護事業者の新設法人は前年比14.0%減の3116社にとどまっていることが分かった。2年連続で減少となった背景について、同社では「高齢化が進む中、実質賃金の低迷で要介護者を抱える家族の生活費への圧迫や、人で不足と人件費の高騰、施設への投資負担、過当競争や介護報酬改定など内憂外患の環境にある」と分析している。また、今年1−9月の老人福祉・介護事業者の倒産は過去最多の前年を既に上回っており、本格的な淘汰の時代を迎えているとも指摘している。
公益財団法人新聞通信調査会が18歳以上の人を対象にした全国世論調査によると、「インターネットでニュースを見る」人の割合は、調査開始の2010年以降で最高の69.6%に上り、「新聞の朝刊を読む」人の70.4%と僅差にまで急迫していることが分かった。また、各メディアの情報信頼度を100点満点で評価採点してもらった結果、NHKが首位の69.8点で、新聞(68.6点)、民放テレビ(59.1点)、ラジオ(57.6点)、インターネット(53.5点)が続いた。