社会・経済ニュース
2017年01月31日号
内閣府が経済財政諮問会議に示した中長期財政試算によると、政府が目標として掲げてきた2020年度に基礎的財政収支の黒字化達成は極めて困難な状況にあることが分かった。試算で示された2020年度の国と地方の基礎的財政収支は8.3兆円の赤字見通しとなっており、背景に所得の伸びの鈍化から所得税や消費税の税収が増加していかないと見込んでいる。首相は会議で所得と個人消費改善に向け、経済界に昨年並み水準の賃上げをと求めた。
共同通信社が行なった全国電話世論調査によると、米新政権が掲げる「米国第一」を巡り、国際情勢が不安定になる「懸念を感じる」と答えた人は83.8%に上っていることが分かった。「懸念を感じる」と答えた人を年代別に見ると、60代以上の高年層は90.5%で、40〜50代の中年層は84.4%、30代以下の若年層は73.7%で、年齢が高くなるほど、不安を抱いている実態が浮き彫りとなった。
1月25日のニューヨーク株式市場でダウ工業株平均が史上初めて2万ドルを突破した。トランプ米大統領誕生から4営業日での大台突破で、新政権の経済政策への期待が株高に反映した形となっている。ダウ工業株30種平均は公表が開始されてから約120年を経て、初めて2万ドルを達し、日本株への好影響も期待されている。しかし、新政権の米国第一主義といった保護主義的な通商政策への警戒感も強いことや、昨年10〜12月の国内総生産が前期の3.5%増から1.9%増に減速しており、足元での先行き不透明感は否めない。
公益社団法人日本介護福祉養成施設協会が厚生労働相の指定する全ての介護福祉士養成施設を対象にした調査によると、2016年度、介護福祉士を養成する大学や専門学校(377校)への入学者の割合は定員の5割を割り込む約46%にとどまったことが分かった。10年前の2006年度は定員が2万6800人だったのに対し、入学者数は約1万9200人だったが、2016年度は定員1万100人に対し、入学者は過去最低の7700人で、年々減少傾向にある。重労働の反面、賃金が低い処遇が影響しているとみられる。
財務省の発表によると、2016年通年での貿易収支は4兆741億円の黒字となり、2010年以来6年ぶりに黒字に転じたことが分かった。原油や液化天然ガスの価格が安く推移したことで輸入額は前年比15.9%減の65兆9651億円で、輸出額は7.6%減の70兆392億円となっている。自国第一主義を掲げる新大統領が誕生した米国向け輸出額は約14兆円に上り、国・地域別では4年連続で首位にあり、米国向け輸出依存の構造にあり、再び貿易摩擦問題を生じかねない危惧を指摘する向きもある。
内閣府が15〜39歳を対象に行った調査で、半年以上にわたって自宅や部屋から出なかったり、趣味の用事や近所のコンビニに行く以外に外出しなかったりする、いわゆる引きこもりは推計で約54万人に上ると公表した。引きこもり期間は7年以上が最多の34.7%で、5年前の調査から2倍超の増加となっていた。引きこもりになった年齢も35〜39歳が10.2%と倍増し、引きこもりの「長期化・高年齢化」が深刻となっており、親の高齢化と併せ、介護や経済困窮などで親子「共倒れ」の危惧がある。
厚生労働省は2016年10月末時点での外国人労働者数は108万3769人となり、初めて100万人を突破したと発表した。背景には人口減少による人手不足があり、高い技能を持つ人材や留学生アルバイトの受け入れに加え、安価な労働力としての技能実習生が増えたとしている。国別にみると、中国が最多の約34万人で、次いでベトナム(約17万人)、フィリピン(約12万人)が続いた。また、全ての都道府県で外国人労働者数は前年の人数を上回っていた。
内閣府が全国の18歳以上の男女を対象に行った「がん対策に関する世論調査」結果によると、仕事と治療の両立が可能かとの問いに、64.5%が「そう思わない」と答えていることが分かった。両立が難しい理由として、「代わりに仕事をする人がいない」が最多の21.7%で、「職場が休むことを許してくれるかわからない」(21.3%)、「体力的に困難」(19.9%)の順だった。2年前の調査で、65.7%が「仕事と治療の両立は困難」としており、就労環境の改善が進んでいないことを裏付けた。