社会・経済ニュース
2017年02月21日号
残業時間の上限、年720時間で合意
政府の働き方改革実現会議は1年間の残業時間の上限を720時間(月平均60時間)とすることで合意するとともに、繁忙期における1カ月当たりの上限時間については100時間とする案を軸に労使での合意形成を目指すとしている。残業の上限時間設定の基本的な考え方については、過労死の労災認定とされる、倒れる前の1カ月間に100時間、または2〜6カ月にわたって月平均80時間超の残業をした場合、仕事と死亡の因果関係が成立する基準がベースにある。

エンゲル係数、4年連続で上昇
総務省は2016年の家庭の消費支出全体に占める食費の比率、いわゆるエンゲル係数が25.8%になったと発表した。4年連続の上昇で、1987年以来29年ぶりの高い水準にある。エンゲル係数は、生活水準が高くなるにつれて数値が低くなり、逆に生活水準が低くなるにつれて数値は高くなるとして知られている。同省では、所得が伸び悩む中、円安や天候不順が響き、食料品が値上がりするとともに、食料品以外での生活費節約が反映した形で、エンゲル係数が高まったとみている。

節約志向を背景に消費支出3年連続減
総務省は2016年の総世帯の家計調査で、1世帯当たりの消費支出は1カ月平均24万2425円になったと発表した。前年比1.8%減となり、3年連続で前年を割り込んでいる。個人消費の低迷が背景にあり、同省では「将来の支出に備えて貯蓄に回す傾向」があるとして、依然、節約志向が強いことを指摘している。事実、税や社会保険料を差し引いた可処分所得は4年ぶりに0.4%増と増加に転じたものの、増加分が消費に回っていない実態を示している。

自己破産、13年ぶりに増加に転じる
最高裁が昨年、全国の裁判所に個人の自己破産申し立てした件数を集計したところ、6万4637件に上ることが分かった。前年を781件増加し、13年ぶりに前年を上回った。貸金業者への年収の3分の1までしか融資ができない総量規制による規制強化で、それまで自己破産の申し立てがピークだった2003年の24万2357件以降、年々減少に転じてきた。一転して、増加に転じてきた背景について、識者は「銀行のカードローン事業を強化している」ものと指摘している。

昨年の転職者数、300万人台を回復
総務省は労働力調査で2016年の転職者数は前年比8万人増の306万人となり、2008年のリーマンショック以後に大きく落ち込みを経て、7年ぶりに300万人台に達したと発表した。転職者の年齢階層をみると、45〜54歳が過去最多の50万人を記録したことで、中高年のベテラン管理職への求人ニーズが高まってきているという転職における構造的な変化も浮き彫りにしている。また、厚労省の調査で、転職で元の職場より賃金が「増えた人」は2015年に「減った人」を初めて上回った。

自衛隊機の緊急発進、冷戦時代を上回る
航空自衛隊の緊急発進(スクランブル)回数が、2016年4月から今年1月末まで10カ月間で、1000回を超えたことが明らかになった。過去最多だった冷戦時代の旧ソビエト連邦の戦闘機へのスクランブルが944回だった1984年度を更新する回数となった。東シナ海上空での中国機の活動が活発化してのスクランブルの増加が背景にある。

天皇陛下の退位、6割近くが「恒久制度」に
時事通信が行なった世論調査によると、天皇陛下の退位に関して、「将来の天皇すべてが退位できるような恒久制度にする」ことを望む人が57.9%だったことが分かった。一代限りとする「特例法で今の陛下一代限り退位を認める」特例法での対応をとする人は32.8%だった。また、今国会で議論されている「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案に関しては、賛成が66.8%、反対が15.6%だった。

納豆で脳卒中・心筋梗塞リスクが低下
岐阜大のチームが納豆を「ふだんよく食べる人」は「そうでない人」と比べ脳卒中で亡くなるリスクが約3割低くなるという調査結果を発表した。同チームが高山市に住む男女約2万9人に1992年に健康状態や食習慣などを聞き取り、2016年の生死や死因を調べ、納豆を良く食べる量に応じて4グループに分けて死亡リスクとの因果関係を調査した結果、脳卒中の死亡リスクは32%低かった。心筋梗塞でもリスクが下がる傾向が見られたとしている。