社会・経済ニュース
2017年09月05日号
政府は8月の月例経済報告で「国内景気は緩やかな回復基調が続いている」として、2012年12月以来続いてきている現在の景気拡大局面は57ヵ月に及んでいるとの見解を示した。バブル景気とされた51ヵ月を抜き、戦後2番目に長い「いざなぎ景気」(1965年〜70年)に並んだ可能性が高いとの見解を政府は示している。戦後これまで最長だった景気拡大は2002年から07年まで続いた73ヵ月とされている。
厚生労働省は7月の有効求人倍率が1.52倍となったと発表した。5カ月連続での改善で、1974年2月以来43年5か月ぶりの高い水準となった。景気回復基調を背景に生産活動が活発な製造業をはじめ、宿泊・サービス儀容での中心に人手不足感が増してきていることが背景にある。また、総務省発表の7月の完全失業率は前月と同じ2.8%と横ばいで推移しているものの、男女の失業率でみると、女性は1993年5月以来、2.5%に改善している。
日銀は市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計の資金供給量(マネタリーベース)の8月末残高は過去最高となる469兆1626億円となったと発表した。資金供給量の構成要因毎の月中平均残高は、金融機関の手元資金を示す当座預金が前年比20.2%増の360兆7896億円、紙幣が同4.7%増の100兆7793億円、貨幣が同1.2%増の4兆7386億円となっている。日銀は、昨年9月の金融政策決定会合で、物価目標の2%を超えるまで市中から国債を買い入れて資金供給量を増やす方針を示している。
厚生労働省の調査によると、2016年度に介護予防サービスと介護サービスを利用した人は過去最多となる613万8千人を超えたことが分かった。調査を本格的に開始した2003年度と比べ1.6倍に増加した。内訳をみると、介護予防の利用者は約150万人で前年比約6万人が減ったが、介護サービス利用者は同約13万人増の約498万人となっている。全体的に伸び率が鈍化している背景には、要介護度の軽い要支援1・2の人向けのサービスが段階的に介護保険から切り離され、市町村事業に移行したことが挙げられている。
財務省の法人企業統計調査によると、企業の内部留保が2016年度末時点で406兆2348億円となり、初めて400兆円を超え、過去最高となったことが分かった。内部留保は企業の利益から税金や配当金、役員賞与などを差し引いた残りを蓄積したもので、改めて景気の先行き不安に対処する企業姿勢が鮮明となった。内部留保の増加は2012年度末から5年連続で過去最高を更新してきている。
国際共同研究グループの発表によると、2015年の世界のピロリ菌感染者数は約44億人に達していることが分かった。73億人と推定される世界人口の60.2%となる。ピロリ菌は胃の粘膜に生息していて、胃潰瘍や胃がん発生の原因菌となると考えられている。地域別にみると、アフリカが70.1%で最も高く、オセアニアが最も低い24.4%だった。国別にみると、スイスが18.9%でナイジェリアが87.7%となっており、国によって大きな格差がみられた。日本の推定感染率は51.7%だった。
東京商工リサーチの調べによると、今年創業100周年を迎え、新たに老舗企業の仲間入りした企業は1118社に上ることが分かった。森永乳業やTOTO、ニコンなどの日本を代表する企業で、1917(大正6)年に誕生しており、2度の世界大戦や経済のグローバル化時代の荒波を生き切ってきた企業でもある。東京商工リサーチでは、「幾多の困難を乗り越えられた原動力は、経営者のリーダーシップだけでなく、事業継続の強い信念、培った信用、時代に即した柔軟な経営感覚も大きい」と分析している。
日本労働組合総連合会が非正規雇用で働く20〜59歳の女性を対象にした「非正規雇用で働く女性に関する調査2017」で、学校卒業後に初めて就いた仕事(初職)の雇用形態を尋ねたところ、「正社員・職員(民間会社・団体等)」が51.2%で、アルバイトや契約社員等の非正規雇用は47.2%に上ることが分かった。日々の生活で経済的ゆとりを尋ねたところ、「ゆとりがある」は25.4%にとどまり、「ゆとりがない」は70.8%だった。全体の平均年収は139万6千円だった。