社会・経済ニュース
2018年09月11日号
財務省は7月の国際収支速報で経常収支が2兆97億円の黒字となったと発表した。49カ月連続で黒字を達成したことになるが、黒字額は原油価格が高騰したことが響き、前年同月比で14.4%減少した。経常収支の内訳をみると、貿易収支が10億円の赤字、サービス収支が1744億円の赤字、海外投資から得られる利子や配当による所得収支が2兆3549億円の黒字となっている。好調な海外経済により、日本企業の海外子会社からの配当金が増加し、所得収支が経常収支の黒字化に寄与した形となっている。
総務省の「ふるさと納税に関する現況調査」によると、平成29年度のふるさと納税の受け入れ額は前年度比28%増の3653億1666万円で、受入件数は同36%増の1730万件となったことが分かった。ふるさと納税に伴う経費の全団体(自治体)の合計額は2027億円で寄付金受入額の55.5%を占めた。このうち、「返礼品の調達に係る費用」は1406億円で、受入額に占める割合は38.5%となり、総務省が定める「返礼品は寄付額の3割以下」とする通知を超えている実態が明らかになった。
気象庁が発表した6〜8月の夏の天候まとめによると、東日本(関東甲信、北陸、東海)の平均気温は平年より1.7度高く、統計開始の1946年以降で最も高くなったことが分かった。西日本(近畿、中四国、九州)は平年比1.1度高く、史上2位の暑さとなった。気象庁は、日本上空に太平洋高気圧とチベット高気圧の「2層の高気圧」が張り出したことで、晴天が続き、気温が上昇する日が多かったと分析している。
国土交通省の発表によると、2017年度に配達された宅配便は前年度比5.8%増の42億5133万個になったことが分かった。3年連続で過去最高を更新しており、背景にはインターネット通販やスマートフォンのアプリを活用して個人間の中古品売買が増加したことがある。業界大手での取扱個数の順位は、首位がヤマト運輸(18億3668万個)で、佐川急便(12億6222万個)、日本郵便(8億7588万個)が続き、上位3社で全体の94%超を占めた。
西日本豪雨で被災した岡山・広島・愛媛3県の17市町で避難指示対象者が避難所に避難した人は平均で4.1%にとどまることが分かった。避難情報が発せられても実際の行動に結びついていない実情を浮き彫りしおり、自治体の担当者からは「避難率が低く、検証が必要だ」との声が上がっている。また、別の自治体の担当者からは「住民から避難情報の意味が理解できなかった」との声が寄せられるとともに、「避難が必要との意識が浸透していない」「危険度が伝わっていない」との指摘もあり、住民の防災意識の向上は喫緊の課題であることを象徴している。
国際航空運送協会(ITTA)の発表によると、2017年に世界で国際線・国内線を合わせた旅客数は前年比7%増の41億人になったことが分かった。40億人を超えたのは初めてで、世界的な経済回復基調にあることに加え、格安航空会社(LCC)のチケットの低価格化が後押ししたと協会では分析している。地域別にみると、首位はアジア・太平洋が前年比11%増の15億人で、欧州(11億人)、北米(9億4千万人)が続いた。
共同通信社が東京証券取引所に上場する地方銀行を対象にしたアンケート調査結果によると、回答した地銀66社のうち4割を超える28社で「2020年度末までに店舗数の削減」を計画していることが分かった。また、55%にあたる地銀で「自前のATMを削減」する計画があるとも回答している。店舗数を削減する理由(複数回答)で最も多かったのは、「来店客数の減少」が最多で、ATM削減の理由では「利用者数の減少」が最多で、「開発・維持費の削減」が続いた。
東京都健康長寿医療センター研究所チームが2008年〜14年まで行った調査によると、日常生活に問題がなくても、他人との交流機会が少なく外出もしない高齢者は、そうでない人と比べ、死亡リスクが2.2倍になることが分かった。研究チームは「他人とのコミュニケーションが週1回未満か以上か」「外出が週1回未満か以上か」に基づき4群に分類し、1回未満の人たちと1回以上の人たちとの6年後の死亡率を比較したもの。研究チームは、「高齢者には社会的にも身体的にも活動的な生活が大事で、交流と外出の両方の機会を保つべきだ」と指摘している。