社会・経済ニュース
2019年05月07日号
経済協力開発機構(OECD)が発表した2019年の対日経済審査報告書によると、基礎的財政収支を消費税だけで十分な水準の黒字化達成のために、将来的には消費税率を20〜26%引き上げる必要があるとの試算結果を示した。また、報告書では、歳出削減などに遅滞が生じることがあれば、一段と消費税率の引き上げが必要だとも指摘し、さらに歳出削減の具体的な計画を立て、実行も促している。試算は、2060年までに政府債務を国内総生産(GDP)の1.5倍に抑制することを前提にしている。
総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年10月1日時点での全国の空き家数は過去最多の846万戸に上ることが分かった。5年前の調査時点から26万戸増加し、住宅総数(6242万戸)の13.6%を占めている。調査開始の1958年での空き家率は2.0%だったが、60年間で空き家率は7倍近くに増えている。空き家率が最も高いのは山梨の21.3%で、逆に最も低かったのは埼玉と沖縄の10.2%となっている。
日銀は金融政策決定会合で将来の金融政策方針を示す金利の先行き指針について、大規模な金融緩和策に基づく超低金利を「少なくとも2020年春ごろまで」継続することを明確に示した。これまでの先行き指針では超低金利を「当分の間」として具体的な期限を示してはいなかった。記者会見した黒田総裁は「超低金利は2020年春よりもっと長くなる可能性も十分にあり、かなり長い期間であると明示した」と述べ、改めて超低金利により景気の下支えを行っていく考えを示した。
大企業の社員が中心となる健康保険組合連合会が全国の1388ある健康保険組合の2019年度予算を集計したところ、全組合の62%が赤字に陥っていることが分かった。赤字となっている背景には、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度への拠出金負担が財政を圧迫していることが挙げられている。平均保険料率は12年連続で上昇の9.218%となっている。中小企業の社員が加入する協会けんぽの平均料率10%に近づいてきており、独自に健康保険組合を維持するメリットは薄らいできている。
経団連が2019年春闘妥結状況を集計したところ、定期昇給を含む月例賃金の引き上げ額は組合平均で8310円となり、上昇率は2.46%となることが分かった。6年連続で2%を超える上昇率で、賃上げの流れが続いていることを浮き彫りにした。上昇率を業種別にみると、自動車が2.90%で最も高く、建設(2.74%)、機械金属(2.64%)が続いた。賃上げ額でみると、建設の1万4822円、自動車の9304円が高かった。
国連が発表した報告書によると、世界的に抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌が増加し、危機的な状況にあり、各国に対し早急に対策を講じるよう警鐘を鳴らした。報告書では、現状のままでは、2050年までに年1千万人が死亡する事態に陥り、世界経済は壊滅的なダメージを受けると警告を発している。国連は「薬剤耐性は地球規模で直面している最大の脅威の一つであり、ぐずぐずしている時間はない」と強い論調で対策を早急に講ずることを求めている。
総務省の労働力調査によると、15歳以上の全ての女性のうち、働く人の割合が2018年平均で51.3%となり、5割を超えていることが分かった。1968年以来、50年ぶりに5割を超えた背景には、深刻な人手不足の中にあって、企業が女性採用に積極的な姿勢が伺える。正規・非正規での就労の男女差を見ると、男性の正規29万人増、非正規22万人増だったのに対し、女性の正規24万人増に対し、非正規は62万人増と、女性の非正規増加分が際立っている。
警備会社のALSOKが20〜69歳の男女を対象にした調査で、町中に防犯カメラがあると「安心と感じる」人が70.0%いることが分かった。その理由を尋ねたところ(複数回答)、「犯罪抑止になる」が最も多い73.7%で、「事件の早期解決につながる」(59.1%)、「犯人逮捕につながっているという報道を見た」(51.1%)が続いた。防犯カメラをもっと設置しても良いとする人は62.6%もあり、設置した方が良い場所では(複数回答)、「駅や駅周辺」が最も多い70.0%で、「駐車場」(69.0%)、「商店街」(63.6%)が続いた。