社会・経済ニュース
2019年06月25日号
政府「骨太の方針」に消費税率10%明記
政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」に、10月から消費税率10%への引き上げを明記した。これまで、2度にわたって税率引き上げを延期した経緯があるが、骨太の方針に明記したことで、3度目の延期となることは希薄となったことになる。政府は、税率引き上げでの反動減による経済の失速にならないよう、公共事業の増額をはじめ、総額2兆円規模での経済対策を講ずるとしている。

中学校教員の仕事時間、世界最長に
経済協力開発機構(OECD)が発表した第3回国際教員指導環境調査結果によると、日本の中学校教員の1週間の仕事時間は2年連続で世界最長となる56.0時間だったことが分かった。参加48カ国・地域の平均が週38.3時間だったことと比較しても中学校教員の仕事時間の長さが際立った。小学校教員の仕事時間は週54.4時間で、15カ国・地域で最も長かった。日本の教員の長い仕事時間の背景には部活指導や事務業務の長さがあるとしている。

日本の潜在扶養率、世界最低を記録
国連経済社会局の発表によると、65歳以上の人口に対する25〜60歳の人口比率を示す「潜在扶養率」は、2019年には日本は1.8を記録したことが明らかになった。世界の平均値は「5」で、世界最低の潜在扶養率となった日本はフランスやイタリアとともにカテゴリー「2」に位置付けられ、高齢化の進展を浮き彫りにした。高齢化は世界的な傾向にあり、2019年に世界人口の9%を占めている65歳以上の人口は、2050年までに16%に達するとみられている。

「女性は家庭」に反対の若者は約半数に
閣議決定された2018年版子供・若者白書によると、「女性が家庭に入るべきだと思わない」とする若者は48.5%と約半数に上ることが分かった。5年前の調査から約10ポイント増加しており、若者が従来の性役割にとらわれない男女平等の意識が浸透してきていることを浮き彫りにした。また、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」との考え方に反対は48.5%(前回調査38.7%)、賛成は14.6%(同22.3%)となり、5年間で急速に意識が変わってきている。

ILO、職場のハラスメント禁止条約を採択
国際労働機関(ILO)の専門委員会は、職場でのセクハラやパワハラなどハラスメントを全面的に禁止した条約案を採択し、加盟各国に対し、法令整備を講ずるよう求めた。条約案ではハラスメントを「身体的、精神的、性的、経済的損害を引き起こす許容できない行為や慣行、その脅威」なとど定義した。日本は今年5月に、パワハラ対策を盛り込んだ「女性活躍・ハラスメント規制法」が成立させているが、ILOで求めているハラスメント行為自体の禁止規定や罰則規定は盛り込まれてはいない。

クレーム対応者の半数が「カスハラ増えた」
危機管理コンサルティング会社のエス・ピー・ネットワークがクレーム対応の経験がある20〜60代の男女を対象にした調査で、最近3年間で顧客や取引先から悪質なクレームや理不尽な要求などカスタマーハラスメント(カスハラ)が増えているかを尋ねたところ、55.8%の人が「増えている」と答えていることが分かった。具体的な被害を尋ねたところ(複数回答)、「何度も同じことを言う」、「論点がずれたクレーム」、土下座や社員の解雇といった「不当な要求」が7割を候えていた。

消費者トラブル相談、100万件を超える
閣議決定された2019年版消費者白書によると、2018年に全国の消費者生活センターなどに寄せられた消費者トラブルに関する相談件数は11年ぶりに100万件を超える約101万8千件になったことが分かった。このうち、裁判所や法務省などの公的機関をかたった振り込め詐欺などの架空請求関連の相談が約25万8千件で、全体の4分の1を占めた。その他では、副業や投資などのノウハウを販売するとした「情報商材」や「暗号資産(仮想通貨)」に関する相談件数が過去最高となった。

60歳の4人に1人は貯蓄100万円未満
プルデンシャルジブラルタルファイナンシャル生命保険が例年行っている調査で、今年60歳となる男女2千人を対象に、現段階での貯蓄金額を尋ねたところ、最多は「100万円未満」が24.7%に上ることが分かった。次いで、「100〜300万円未満」(11.3%)、「500〜1千万円未満」(11.1%)が続き、2千万円未満が全体の3分の2を占めた。「1億円以上」も8.1%あったが、全体の平均額は2956万円だった。同生命では「4人に1人が100万円未満は衝撃的な結果」としつつ、「平均額は増えており、格差が広がっている」と指摘している。