社会・経済ニュース
2019年10月22日号
日銀の黒田総裁は記者会見で、米中貿易摩擦の副次的な影響の拡大により、「世界経済成長の回復が遅れる可能性が高い」との認識を示した。その上で、「物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるリスクが高まれば、躊躇なく金融緩和措置を講ずる」との見解を述べた。また、日本においては内需が堅調で、消費と設備投資は良好なものの、「外需は非常に弱くなっている」と指摘した。
消費者庁が消費税増税前後となる9月から10月にかけて行った物価モニター調査によると、生活用品やサービスの税抜き価格の推移は、40品目の調査対象全体で平均0.4%上昇したことが分かった。商品やサービスの価格変動をみると、食品(18品目)が0.4%増、雑貨・衣料(10品目)が0.8%増、サービスなど(7品目)が1%増となっていた。増税に伴っての便乗値上げについて、同庁は記者会見で「通常の価格変動の範囲内」として、便乗は見られなかったとの見解を示した。
米政権は、世界貿易機関(WTO)の承認を受け、10月18日、欧州連合(EU)からの輸入品に報復関税を発動した。報復関税を課す背景には、EUによる欧州航空機大手のエアバスへの補助金が不当であると主張している。報復関税は最大で25%を上乗せもので、報復対象となるEU製品は160品目に上る。大型民間航空機に10%、EU域内のそれ以外の工業製品や農産品に25%を課すとしている。米欧では鉄鋼関税でも対立しており、貿易摩擦の激化は避けられそうにない。
文部科学省の問題行動・不登校調査によると、全国の国公私立小中学校と高校、特別支援学校における2018年度の「いじめ」認知件数は過去最多の54万3933件に上ることが分かった。前年度と比べ、12万9555件増(31.3%増)と大幅な増加がみられた。内訳をみると、小学校が42万5844件(10万8723件増)、中学校が9万7704件(1万7280件増)、高校が1万7709件(2920件増)、特別支援学校が2676件(632件増)となっている。
中国国家統計局は2019年7〜9月期の実質経済成長率は6.0%となったと発表した。1992年以降で最低となった前四半期(4〜6月期)の6.2%を下回り、下落に歯止めがかからない状況を呈した。米中貿易摩擦が長期化しつつあり、中国政府が立てた年間目標6.0〜6.5%を下回りかねない状況にある。経済成長に大きく寄与してきた消費も低調で、小売総額の伸びも前年同期と比べ1.1ポイント低い8.2%にとどまっている。
東京商工リサーチの発表によると、社名に新元号である「令和」の漢字を用いた企業は全国で431社に上ることが明らかになった。内訳では、新設会社が334社、社名変更の会社が97社となっている。月別で見ると、5月が最多の113社に上っている。同社のまとめによると、社名に前の元号である「平成」を社名に盛り込んだ会社は約30年間で1200社に上った経緯もあったことから、「令和を用いた社名は今後増える」とみている。
国際宇宙ステーション(ISS)で、10月18日、米航空宇宙局(NASA)の2人の女性飛行士が宇宙遊泳を行なった。女性による初の宇宙遊泳で、2飛行士はバッテリと放電ユニット交換のために船外活動を行った。NASAでは2024年に、1969年のアポロ計画以来55年ぶりに、有人月面探査を行う新たな計画を立てており、その際、史上初めて女性が月面に降り立ち、月面探査をすることを予定している。
天皇陛下御即位を記念した500円硬貨の引き換えが10月18日から銀行をはじめ金融機関で始まった。発行枚数は500万枚で、このうち3万枚は1万円金貨貨幣とのセットとなる。図柄は、表面が即位礼正殿の儀で使用される調度品の「高御座」で、裏面は「菊花紋章と梓とハマナス」が描かれている。バイカラー・クラッド貨幣となっており、異なる種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込んだ円盤を、異なる金属でできたリングの中にはめ合わせて製造されている。