社会・経済ニュース
2020年01月28日号
政府の地震調査委員会が発表した南海トラフ地震による津波が今後30年以内に発生する確率の推計結果によると、大津波警報の発表基準に相当する3メール以上の津波は、太平洋側の10都県71市区町村に及ぶ広い範囲で、26%以上の非常に高い確率で襲来すると予測した。5メートル以上の津波は7都県29市町村で26%の確率で発生すると予測するとともに、津波の高さが最も大きい10メートル以上は6県21市区町村で6〜26%の確率で発生するとしている。
厚生労働省が発表した2020年度の公的年金の支給額は0.2%引上げとなった。支給額は毎年度、物価と賃金の変動を反映して決定され、本来の引き上げ幅は0.3%だが、年金財政を抑制する「マクロ経済スライド」が2年連続で適用され、0.2%の引き上げとなった。これにより、2020年度は国民年金(基礎年金)が40年納付の満額で月6万5141円(前年度比133円増)、厚生年金は平均的な給与で40年間働いた夫と専業主婦のモデル世帯は月22万724円(同458円増)となる。
財務省の試算によると、国債発行残高が2029年度末時点で1063兆7800億円に達する見込みにあることが分かった。2020年度の900兆3700億円だったものから、2026年度には1千兆円を突破し、2029年度には現在よりも約163兆円も増える計算となる。国債発行という借金に依存する財政運営に抜本的な改革を講じなければ、危機的状況を招きかねない。低金利に支えられてはいるものの、将来的に想定以上の金利上昇ともなれば、さらに国債残高は膨らむ可能性も指摘されている。
日本フランチャイズチェーン協会は、2019年の主要コンビニの全店売上高が前年比1.7%増の11兆1608億円となったと発表した。2005年以降14年連続で過去最高を更新したことになるが、背景に昨年10月からの消費税増税で導入されたキャッシュレス決済時のポイント還元策が売上高に寄与したものとみられる。一方、2019年末時点での店舗数は前年末比0.2%減の5万5620店となり、店舗数が前年末から減少したのは初めてとなった。
日銀は1月21日に開催された金融政策決定会合で現行の超低金利政策を維持することを決定した。日銀の超低金利政策は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導するとしているもので、政策を維持した背景には、米中貿易戦争激化の懸念が和らいだことで、追加緩和は必要ないとの判断から賛成多数で決定された。決定に際し、国内景気の現状については緩やかに拡大している認識を示す一方で、物価安定の目標に向けた勢いが損なわれる恐れがある場合には「躊躇なく追加的な金融緩和措置を講ずる」としている。
消費者庁の調査によると、外食で食べきれなかった料理の持ち帰りに「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人は89.8%に上ることが分かった。しかし、過去1年間に実際に持ち帰ったことがある人は18.7%にとどまった。「持ち帰りたいと思ったが持ち帰ったことはない」「持ち帰りたいとは思わない」と答えた人の理由では、「店の許可が取れるか分らなかった」(31.3%)、「持ち帰りの習慣が一般的ではないと思った」(29.9%)が挙げられた。食品ロス削減が叫ばれており、環境整備が急がれる。
日本チェーンストア協会の発表によると、2019年の全国のスーパーでの売上高は新店を含めた全店ベースで約12兆4324億円となり、前年比4.3%減だった。新店を除いた既存店ベースでは前年比1.8%減となり、4年連続で前年を割込んだことになる。消費増税による節約志向の高まりや夏場での長雨、暖冬が影響したとみられ、協会では「増税の負の影響は強く、消費の弱い状況が長引く恐れがある」と指摘している。
東京都が都内の約2400社を対象に実施した調査によると、東京五輪・パラリンピックの大会期間中に、パソコンなどを使って自宅で仕事を行う「テレワーク」の実施を検討しているとの回答が44%に上ることが分かった。東京五輪では国内外から1千万人規模の観客が訪れる見通しにあり、交通混雑緩和のための対策が重要な課題とされており、テレワークの普及が課題となっている。2012年ロンドン五輪では市内企業の約8割がテレワーク実施に取り組んだとされている。