社会・経済ニュース
2020年07月21日号
赤羽国土交通相は新型コロナウイルス感染拡大で疲弊する観光事業を支援する政府の「Go To トラベル」の7月22日開始にあたって、感染が再拡大している東京都発着の旅行を除外することを表明した。東京都を除く46道府県については、感染対策を講じることを徹底した上で22日から実施される。また、同相は「重症化しやすい高齢者や若者の団体旅行や50名で宴会を伴う旅行の利用も控えて欲しい」と表明した。
国土交通省が発表した4月の鉄道輸送統計月報によると、全国の鉄道やモノレールなどの乗客数は合計で11億6152万1千人だったことが明らかになった。統計を開始した1987年4月以降で過去最低となった。新型コロナウイルス感染拡大に対応して4月7日に発令された政府の緊急事態宣言が鉄道輸送での乗客減となったことが背景にある。内訳では、JR旅客各社が前年同月比41.7%減の4億6534万2千人で、JRを除く民間鉄道は47.8%減の6億9617万9千人だった。
日銀は7月15日開催の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導するとした大規模な金融緩和策を維持することを決定した。また、会合では新型コロナウイルス感染拡大で業績が悪化している企業の資金繰りの支援策を継続していくことも確認された。会合後に会見した黒田総裁は「日本経済は底打ちしたが、回復は緩やかなペースにとどまる」との見方を示し、「必要があれば追加の金融緩和に踏み切る」との考えを強調した。
厚生労働省の2019年国民生活基礎調査結果によると、要介護者と同居する主な介護者との組み合わせを年齢別に分類したところ、65歳以上同士が59.7%に上ることが明らかになった。このうち、75歳以上同士の割合も33.1%もあり、これまでで最も高くなっていた。高齢化の進展とともに核家族化で、「老老介護」が進んでいる実態を鮮明に浮き彫りにしている。老老介護で、介護者の肉体的精神的負担の増大が危惧されるところである。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が公表した報告書によると、新型コロナウイルス感染拡大対策での移動規制により、世界の観光収入は最大で3兆3千億ドル(約353兆円)減少すると試算していることが分かった。報告書では、封鎖措置が4カ月、8カ月、12ヵ月続くという3つのシナリオを基に試算したもので、各シナリオでの観光収入の減少額は、1兆1700億ドル、2兆2200億ドル、3兆3000億ドルになるとしている。UNCTADでは「中間のシナリオが現実的かもしれない」としている。
厚生労働省が発表した2019年国民生活白書によると、中間的な所得の半分にも満たない家庭で暮らす18歳未満の割合、いわゆる「子どもの貧困率」は2018年時点で13.5%だったことが分かった。前回調査の2015年時の13.9%とほぼ同水準で、依然として貧困率の改善には至っていないことを浮き彫りにしている。世帯別類型別にみると、大人一人で子どもを育てる世帯の貧困率は48.1%に達している。とくに、母子世帯の86.7%が「生活が苦しい」と答えている。
国際金融協会(IIF)のまとめで、世界全体の債務残高が2020年1〜3月期に257兆9500億ドル(約2京7700兆円)になったことが分かった。前期の2019年10〜12月期から1兆1千億ドル増加し、過去最大になった。世界の債務残高は国内総生産比で11ポイント上昇し、331%となった。背景には、新型コロナウイルス感染拡大への対応から各国ともに金融緩和や財政出動を拡大させたことによるもので、2020年4〜6月期には12兆5千億ドル上乗せすることが見込まれている。
水産庁のまとめによると、二ホンウナギの稚魚であるシラスウナギが国内で豊漁となり、2020年の漁期は国内採捕分で17.1トンを養殖池に入れたことが分かった。昨年の記録的な不漁だった3.7トンから一転して約4.6倍に増えたことになる。ウナギの取引価格は2018年に1キロ当たり299万円まで高騰し、2020年は144万円にまで低下した。日本養鰻漁業組合連合会では今年のウナギ成魚価格見通しについて「稚魚が豊漁だったこともあり、抑えられる可能性がある」としている。