社会・経済ニュース
2020年08月25日号
コロナによる需要減退で地価下落へ
国土交通省が発表した全国主要都市100地区を対象とした2020年第2四半期(4月1日〜7月1日)の地価動向調査の結果によると、下落は前回調査の4地区から38地区に増加したことが分かった。逆に、上昇は73地区から1地区までに激減した。下落地区が上昇地区を上回ったのは、2012年第2四半期以来8年ぶりとなる。背景には、新型コロナウイルス感染拡大により、ホテルや店舗の需要が減退するとともに、取引が停滞したことによって、下落地区が拡大したことが挙げられている。

2019年の水害被害、最悪の2.1兆円
国土交通省は2019年に起きた水害での住宅やインフラなどの被害額は2兆1476億円に上ったと発表した。統計を開始した1961年以降で最悪となり、とくに台風19号による被害額は1兆8600億円に上り、個別の水害としては過去最悪のものとなった。被害の内訳をみると、住宅や農作物などの一般資産が全体の7割を超える1兆5939億円で、道路や河川などの公共土木施設が5233億円、鉄道や水道の公益事業が304億円となっている。

米西部で世界史上最高気温を記録
米西部カリフォルニア州のデスバレーで、8月16日に54.4度を観測し、世界気象機関(WMO)は世界史上最高となるとしている。二酸化炭素排出などに起因する地球温暖化による影響であることが確実視され、専門家は世界的な猛暑の過酷さは増大するとともに、持続期間も長くなっていると指摘している。過去最高とされた今年7月のイラクの首都バクダッドの51.8度を大幅に更新したことになる。日本でも8月に浜松市で国内史上最高気温に並ぶ41.1度が観測されている。

軽自動車の普及割合、44年ぶりの減少
全国軽自動車協会連合会の発表によると、軽自動車の100世帯当たりの普及台数は2019年12月末時点で54.40台となり、前年同期の54.41台から減少していることが分かった。44年ぶりに前年を割込んだ背景には、軽自動車の保有台数は増加したものの、世帯数の増加が上回ったことで、普及割合が減少に転じた。都道府県別にみると、長野県が103.5台で最多で、鳥取県(103.2台)、佐賀県(103.0台)が続いた。100世帯当たり最少だったのは、東京都の11.9台だった。

輸出、5カ月連続で2ケタ減少に
財務省は貿易統計で、7月の輸出は前年同月比19.2%減の5兆3689億円だったと発表した。2ケタの減少率は5カ月連続となった。また、輸入も22.3%減の5兆3572億円となり、新型コロナウイルス感染拡大により、世界的な経済収縮が貿易に大きな影を落としている実情を浮き彫りにした。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、116億円の黒字となり、4カ月ぶりに黒字となった。新型コロナに加え、今後、米中貿易摩擦での交渉も停滞しており、世界経済への先行き不透明感が拡がっている。

5月、医療機関での受診者数は2割減
厚生労働省のまとめによると、5月に全国の医療機関で受診した患者数は前年同月比20.9%減少していることが分かった。新型コロナウイルスへの感染警戒から受診を控える傾向を浮き彫りにしている。診療科別に前年同期と比べた減少幅をみると、小児科(46.1%減)が大きく、耳鼻咽喉科(41.7%減)、眼科(32.4%減)、内科(24.8%減)が続いた。受診者の減少は医療機関の経営を圧迫させるだけでなく、病状を悪化させかねない。

グリーンランドの氷床融解、史上最多に
欧米の研究チームは、大部分が北極圏に位置するグリーンランドで、2019年に氷床が解けた量は5320億トンに上り、観測史上で最多となったと発表した。氷床の融解は、地球温暖化により北極圏で急速に気温が上昇していることが背景にあり、将来、海面上昇につながることが危惧されている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、温室効果ガスの排出を大幅に抑制しても今世紀末に20世紀より59センチ上昇し、対策が緩かった際には、1.1メートル上昇する予測している。

最低賃金、40県で1〜3円引き上げに
厚生労働省が公表した2020年度の地域別最低賃金の全国の改定額によると、40県で1〜3円引き上げたことが分かった。中央最低賃金審議会の小委員会は7月に、2020年度地域別最低賃金の改訂について、新型コロナウイルス感染拡大の影響による悪化する経済情勢の中で、雇用の維持を優先する姿勢をもとに、「現行水準維持が適当」として、引き上げの目安額を示さないとする報告をまとめていた。40県が引き上げを行なったのは、「最低賃金の水準が低い」との考えに基づき改訂が行われ、10月から改訂が適用される。