社会・経済ニュース
2020年10月20日号
国際通貨基金(IMF)が発表した新たな財政報告によると、2020年の世界全体の政府債務残高は、国内総生産(GDP)合計の98.7%に達すると見込んでいることが明らかになった。新型コロナウイルス感染拡大に対応した経済対策が主たる要因である。先進国だけで見ても、2020年の債務残高はGDP比で平均125.5%となると見込まれ、前年から20.2ポイント悪化すると予測している。日本は28.2ポイント増の266.2%となり、先進国の中でも高さが際立っている。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、医療や介護、年金などの社会保障給付費の総額は過去最高となる121兆5408億円となったことが分かった。前年度比1兆3391億円の増加となり、背景には高齢化の進展や医療の高度化が挙げられている。給付費の内訳をみると、年金が全体の45.5%を占める55兆2581億円で、医療は39兆7445億円(32.7%)、介護や子育て支援を含む福祉その他は26兆5382億円(21.8%)だった。
農林水産省が発表した2021年産の主食用米は需要に見合った全国の生産量は679万トンとなり、2020年産の直近予測の735万トンから56万トン減少するとの見通しであることが分かった。国が主食用米の生産量目標の配分を開始2004年以降で最大の減少幅となる。新型コロナウイルス感染拡大による外食需要が低迷していることに加え、人口減少による消費減が背景にある。米の供給過剰感によりコメ価格の低下は避けることができない状況にあり、後継者不足に悩む農家の廃業も加速しかねない。
最高裁第1小法廷は日本郵便の契約社員らが正社員と同様に各種手当や休暇を与えるよう求めた裁判で、「不合理な格差で違法だ」として、契約社員にも認める判断を下した。第1小法廷は、扶養手当、病気休暇、年末年始勤務手当、夏季・冬季休暇、祝日給の5つで不合理な格差とした。とくに、扶養手当と病気休暇は雇用確保が目的であり、相応に継続的な勤務が見込まれる契約社員も対象であるとした。日本郵便の郵便事業に携わる社員は約39万人で、そのうち契約社員が半数を占めており、最高裁の判断を受け、同社では「速やかに労使交渉を進める」としている。
東京商工リサーチの集計によると、今年1〜8月の間に、自主的に事業をやめたり解散した企業は3万5816件に上ることが分かった。前年同期と比べ、23.9%もの増加で、これまで最多だった2018年の約4万7千件を超えて、年間5万件に達する最多ペースとなっている。背景には、新型コロナウイルス感染拡大により景気が悪化したことに加え、後継者不足に悩む中小・零細企業が事業継続に見切りをつける動きが加速している。
東北大学と島津製作所は吐いた息から新型コロナウイルス感染を調べる検査システムを世界で初めて開発した。吐いた息を結露させ、専用の装置で処理をし、分析器でウイルスの有無を調べるもので、痛みも伴うことも解消される。これまでの鼻の奥など感染が拡がった部分からの検体を採取するシステムが広く使われてきたが、新検査での分析方法では、コロナウイルスといった特定のウイルスを検出するだけでなく、呼気に含まれる別のウイルスや体の異常を引き起こすタンパク質なども検出することが可能となる。
日本世論調査会が18歳以上の男女を対象にした社会保障世論調査によると、83%の人が医療、年金などの現行制度に「安心できない」「あまり安心できない」と感じていることが分かった。4年前の調査で同質問には安心できないと答えた割合は72%で、不安を抱く人が約10ポイント増えていた。社会保障で充実すべき分野を2つまで回答を求めたところ、「年金」が最も多い59%で、「少子化対策」(40%)、「医療保険」(34%)が続いた。また、新型コロナウイルス感染症を巡って、28%の人が医療や介護で地震や家族に影響が出たとしている。
民間シンクタンク「ブランド総合研究所」が20〜70代男女を対象に認知度などの84項目を尋ねた2020年都道府県別魅力度ランキングで北海道が12年連続で1位になったと発表した。2位は京都、3位は沖縄が続いた。これまで7年連続で最下位だった茨城は42位となり、最下位を脱出し、最下位には栃木となった。また、市区町村別ランキングでは、京都が1位となり、2位に函館と札幌となった。