社会・経済ニュース
2020年12月15日号
政府は2020年度に期限を迎える赤字国債発行の裏付けとなる特例法について、2021年度から5年間延長する方針であることが明らかになった。新型コロナウイルス感染拡大での収束が見えない中で、安定した財政運営を図っていく上で、不可欠であるとの判断に基づくもので、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度までに黒字化する財政健全化目標と合わせた対応となっている。赤字国債抜きには予算が編成できない事態にあり、2021年度以降も大規模な財政出動が見込まれている。
厚生労働省は来春卒業の高校生の求職者数は前年9月末と比べて、10.1%減の15万2402人だったと発表した。過去最低を更新したことになり、減少率は1994年春卒以来、27年ぶりの大きさとなっている。背景には、新型コロナウイルス感染拡大が響き、民間企業への就職を断念した向きが多いことが挙げられている。同省では「多くの就職希望者が新型コロナの影響で大学・専門学校への進学や公務員への就職に切り替えた」とみている。
イギリスの医療調査会社エアフィニティーが新型コロナウイルスのワクチンが普及し、社会が日常に戻る時期を予測した調査結果によると、日本は2022年4月になると発表した。ワクチンの接種時期のめどが立っていない状況にあり、接種の出遅れから日常に戻る時期が先進国では最も遅くなるとみている。最も早く日常に戻るのは、2021年4月の米国で、カナダが6月、英国が7月、EUが9月、オーストラリアが12月になると予測している。中国は2022年10月、インドは2023年2月と、日本より遅れるとみている。
東京商工リサーチの発表によると、2020年1〜11月の飲食業の倒産件数は792件に上り、これまで最多を記録した2011年の800件を上回ることが確実視されることが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言や波状的な流行での自粛要請などがあったことに加え、客足が遠のいたことが挙げられている。自主的な休廃業・解散を加えると、約2400件にまで増えている。同社では「売上げが回復せず、人件費などの固定費負担を賄いきれない」飲食業の実情を指摘している。
財務省が発表した10月の国際収支速報によると、経常収支の黒字額は前年同月比15.7%増の2兆1447億円だったことが明らかになった。黒字額が2ケタの伸びとなった背景には、新型コロナウイルス感染拡大で停滞していた経済活動が中国や米国を中心に再開したことが挙げられている。事実、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9711億円の黒字となった。他方、輸入は原油価格の下落もあって15.2%減の5兆3488億円と大幅に落ち込んでいる。
JRグループ6社の発表によると、年末年始での新幹線や在来線の指定席の予約数は12月9日時点で前年同期比61%減の162万席にとどまることが分かった。11年ぶりに前年を割込み、1997年以降で過去最低となった背景には、新型コロナウイルスの第3波感染拡大により規制や旅行の自粛が拡がっていることが挙げられている。混雑のピークは、下りが12月30日、上りが1月3日となっている。JR東日本では「予約できる座席数に十分余裕がある」として利用を呼び掛けている。
国連環境計画(UNEP)の報告書によると、2019年の世界の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で591億トンに達したことが明らかになった。過去最大を更新したことになり、このままだと今世紀末の気温は産業革命前と比べ平均3度上昇すると指摘している。世界各国は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとの方針を打ち出しているが、UNEPは短期的に強力な政策を打ち出さなければ実効性がないと警告を発した。
日本女子大学家政学部被服学科が全国の10代以上を対象に新型コロナウイルス感染症対策で衛生管理面での変化を尋ねたところ、65%が「衣生活に変化があった」と答えていることが分かった。具体的には(複数回答)、「帰宅後速やかに衣服を洗濯する(着替える)」「使い捨てマスクを洗濯して再利用する」がそれぞれ32%あった。その他では、「共同利用のタオルを個人使用にした」(22%)、「洗濯回数が増えた」(19%)、「着用衣類にアルコールスプレーなどで除菌」(15%)などが挙げられた。