社会・経済ニュース
2020年12月22日号
12月18日、米製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルス感染症のワクチンを厚生労働省に承認申請を行った。現在、世界では200を超えるワクチン開発計画があるが、日本国内での実用化に向けた承認申請は今回が初めてとなる。同社では、日本国内での大規模な知見を省略して審査を進める「特例申請」を目指すと表明し、申請を受けた田村厚労大臣は「最優先での審査を行う」としており、早ければ、来年3月に国内での接種が開始される可能性が高まってきている。
総務省は11月の全国消費者物価指数(2015年=100)が変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.2となったと発表した。前年同月比0.9%下落し、下落幅はデフレが深刻化していた2010年9月の1.1%減となって以来、10年2か月ぶりの下落幅となった。GoToトラベルが適用された宿泊料は34.4%下がるとともに、原油安を反映して電気代(7.3%減)やガス代(7.1%減)も低下した。
閣議決定された2020年度第3次補正予算案で新型コロナウイルス感染拡大による追加経済対策の経費として19兆1761億円が盛り込まれ、2020年度の一般会計は175兆6878億円に上ることが明らかになった。第3次補正予算案を組むにあたって、新たに新規国債を22兆3950億円発行することとしており、2020年度一般会計での国債発行額は112兆5539億円に膨らみ、予算を新規国債発行で賄う公債依存度は64.1%となる。
日本労働組合総連合会(連合)が18〜65歳の被雇用者を対象に、昨年と比べ今年の賃金総額(手当・賞与を含む)を尋ねたところ、「増加する見通し」と答えた人は2.6%にとどまることが分かった。「減少する見通し」と答えた人は29.9%で、減少する見通しと答えた人の業種別で見ると、「宿泊・飲食サービス業」が51.2%で最もかった。また、新型コロナウイルス感染状況が変わらないと仮定した上で、87.8%の人が「現在の勤め先で働き続けられると思う」と答えた。
閣議決定された医療保険制度改革で、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を単身世帯で年収200万円以上は2割負担とすることとなった。令和4年度後半の施行を目指し、来年の通常国会に関連法案を提出するとしている。令和4年から団塊世代が後期高齢者入りすることを踏まえて導入されるもので、現役世代の負担軽減を図るとしている。75歳以上同士の夫婦の場合は世帯年収320万円以上が対象となる。
総務省消防庁は全国の消防団員数は今年4月1日時点で81万8478人だったと発表した。前年度比1万3504人減っており、過去最少となる。同庁によると、入団者数は4万3268人で、前年度から2436人減っており、集計記録が残る2004年度以降で最も少なかった。背景には、人口減少や少子高齢化に加え、新型コロナウイルス感染拡大で、勧誘活動が本格化する3月以降に停滞したことが挙げられている。消防団員数が減る中、女性団員は2万7200人、学生団員は5404人となり、いずれも過去最多となった。
日本経済研究センターがまとめたアジア・太平洋地域の15カ国の経済成長見通しによると、2028年に中国が名目国内総生産(GDP)で米国を超えると予測した。同センターは新型コロナ感染による影響が今後4〜5年で収束する「標準シナリオ」と、収束が標準シナリオよりもさらに4〜5年遅くなる「深刻化シナリオ」の2パターンで米中のGDPが逆転する時期を予測したもので、標準シナリオでは2029年、深刻化シナリオでは2028年になるとした。
日本漢字能力検定協会は今年1年の世相を表す「今年の漢字」は「密」が選ばれたと発表した。新型コロナウイルス感染拡大防止として、新しい生活様式として政府などが3密(密閉・密集・密接)を避けることを発信したことが反映されたものとなっている。全国から20万件を超える応募の中から選ばれたもので、2位に「禍」、3位に「病」などのコロナ関連が続いた。また、4位以下は、「新」「変」「滅」「菌」「鬼」などが続いた。今年の漢字は、同協会が1995年から開始したもので、今年で26回目となる。