社会・経済ニュース
2021年06月08日号
6月4日の参院本会議で、医療制度改革関連法が可決・成立した。一定の収入がある75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を現行の1割から2割に引き上げるもので、単身では年金を含め年収200万円以上、夫婦世帯では合計年収が320万円以上となる世帯が対象となる。高齢者の急増で膨らむ医療費を抑制するとともに、現役世代の保険料負担を抑える狙いがある。引き上げ時期は2022年度後半としており、引き上げ対象となる高齢者は約370万人になるとみられている。
厚生労働省の集計によると、新型コロナウイルス感染拡大で減収となった世帯に生活資金を貸し付ける特例制度での合計融資決定額は9566億7千万円となった。融資決定件数は約227万件に達し、生活苦に陥っている世帯が増えている実態を浮き彫りにしている。特例貸付は、緊急小口資金(最大20万円)と総合支援資金(最大180万円)の2種類ある。政府は、所得が減り続ける住民税非課税世帯などについては返済を免除する方針だが、免除とならない場合には来年度からの返済が求められる。
6月3日の衆院本会議で、改正育児・介護休業法が可決・成立した。改正法では、子どもが生まれて8週間以内に夫が4週分の休みを取れる「出生児育児休業」が盛り込まれた。「男性版産休」とも言われるもので、少子化に歯止めを掛けるとともに、夫婦が力を合わせて家事や育児を担い、安心して子育てできる環境を整備する狙いがある。申請期限は2週間前までで、育児休業給付金や社会保険料の免除により、通常の制度と同じく最大で賃金の8割が実質で保証される仕組みとなっている。
電通が全国10〜70代の男女を対象にした調査で、国連が定めた2030年度までの持続化可能な開発目標「SDGs」への認知率は54.2%と半数を超え、前年の29.1%から2倍近くに増えていることが分かった。「SDGs」について、「内容は分からないが名前は聞いたことがある」(33.8%)、「内容まで含めて知っている」(20.5%)だった。世代別では10代が7割を超えていた。職業別の認知率は、学生(76.1%)が最も高く、公務員(70.2%)、事務系会社員(64.3%)が続いた。
厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2020年の出生数は84万832人で、過去最少となったことが明らかになった。出生数はピーク時の1973年(約209万人)の約4割にまで落ち込んでいる。減少は5年連続となり、初めて90万人を割り込んだ2019年の86万5239人より2.4万人減った。政府の推計より3年早く84万人台に急減した背景には、新型コロナウイルスが大きく影を落としている。また、婚姻件数も前年比約7万件以上少ない52万5490組となっている。
閣議決定された2020年度版水産白書によると、2020年の生鮮魚介類の1世帯当たりの年間購入量は前年比4%増の23.9キロとなり、18年ぶりに増加に転じたことが明らかになった。年間支出額も、前年比5%増の約4万3600円となった。新型コロナウイルスの感染拡大により、外食支出が減ったものの、家庭向けの需要が伸びたのが要因だと指摘している。白書では、さらなる増加を図るためには、消費者側の要望に即した「マーケットイン」の考え方に立った商品提供が重要だと指摘している。
閣議決定された2020年度版森林・林業白書によると、2020年の木材輸出額は過去20年で最高となる357億円だったことが明らかになった。2001年の約5倍となる最高額に至った背景について、中国での丸太の需要増や、米国での住宅関連のスギ製材の需要が伸び、さらに韓国でのヒノキ需要が高まっていることが挙げられている。白書では、さらなる輸出拡大に向け、「日本産木材製品のブランド化や認知度向上が重要だ」と指摘した上で、林業事業者などの所得向上に向け「さらなる世界の市場の獲得が不可欠だ」としている。
総務省の2020年度家計調査によると、外食でのラーメンの年間支出金額で山形市が8年連続で首位となったことが明らかになった。山形市の「中華そば」支出額は1万4473円となり、全国平均(6447円)の2.2倍にも達し、2位となった新潟市(1万1991円)を大きく上回った。最下位の和歌山市は3118円で、首位とは約5倍の開きがあった。県の担当者は「ラーメンを置くそば店も多く外食する機会が多いことに加え、来客に出前のラーメンでもてなす文化があるからでは」と分析している。