社会・経済ニュース
2021年06月22日号
「骨太の方針」で財政健全化目標を堅持
政府は6月18日に閣議決定した今後の経済財政運営の指針となる「骨太の方針」と「成長戦略」で、新型コロナウイルスの克服と収束後をにらんだ構造改革を同時に推進する方針を打ち出した。財政健全化では、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度に黒字化する目標については「堅持する」との方針を明記した。ただ、2021年度中にコロナ禍による経済財政への影響を検証する方針で、「骨太の方針」に目標年度を再確認すると記しており、先送りする含みを持たせている。

雇用調整助成金支給、製造業が最多に
厚生労働省が新型コロナウイルス感染拡大により支給した雇用調整助成金の決定額を産業別に今年5月末までの決定分を集計・分析したところ、製造業が最多の8968億円だったことが明らかになった。次いで、卸・小売業(5393億円)、宿泊・飲食サービス業(4849億円)、運輸業・郵便業(4096億円)、生活関連サービス業・娯楽業(2550億円)が続いた。都道府県別では、東京都(9935億円)が最多で、大阪府(3461億円)、愛知県(2462億円)のが順だった。

東京五輪の観客数、上限1万人で決定
東京五輪・パラリンピックの観客数について、大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)など5者代表による協議が行われ、東京五輪の観客数上限は「収容定員の50%以内で1万人」にすることで正式決定した。また、7月12日以降に、「緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置」が発動された場合は無観客を含めた対応を行うことで基本合意した。開会式については、観客数を1万人にすることに加え、別枠扱いとなる大会関係者を含め2万人内外になるとみられている。

コロナで日本人の「うつ」2倍以上に増加
経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本国内でうつ病・うつ状態の人の割合が、コロナ流行前の7.9%から、2020年には17.3%へと倍増していることが分かった。他国の状況では、米国が6.6%から23.5%に、英国が9.7%から19.2%に増加。OECDは、精神疾患などに伴い、治療費の負担や失業、生産性の低下などで経済損失が懸念されるとして、各国政府に適切なケアや雇用対策の充実を急ぐよう求めている。

5月輸出は49.6%増、41年ぶりの伸び大きさ
財務省は5月の貿易統計で、輸出が前年同月比49.6%増の6兆2613億円に上ったと発表した。3カ月連続の増加で、伸び率は1980年4月に記録した51.4%と同水準となり、41年ぶりの大きさとなった。前年の新型コロナウイルス感染拡大で停滞した反動での増加で、自動車や自動車部品が大幅に伸びている。国・地域別の輸出でみると、米国向けが87.9%増の1兆1045億円、欧州連合向けが69.6%増の6170億円、中国向けは23.6%増の1兆3927億円などとなっている。

紙巻きたばこ、初の1000億本割れに
日本たばこ協会の集計によると、2020年度の国内紙巻きたばこ本数が988億本となり、統計がある1990年度以降で初めて1千億本を割り込んだことが分かった。一方、加熱式のたばこ本数は、協会の集計によると、2020年度は413億本に達し、紙巻たばこの4割となり、加熱式を選択する消費者が増えている。日本たばこ産業(JT)の昨年の業績は紙巻きたばこの不振から減収減益に陥り、加熱式たばこでのシェア拡大と収益改善を目指すとしている。

5月の企業倒産件数、過去最大の増加
帝国データバンクは全国企業倒産集計2021年5月報で、5月の倒産件数は461件となったと発表した。前年同月比60.1%もの増加となり、過去最大の増加幅を記録したことが明らかになった。背景には、前年同月は緊急事態宣言の発出に伴い、法的手続きが滞留し、倒産件数が抑制されたため、その反動で今年5月は最大の増加幅となった。5月の負債総額は大型倒産もあったため、前年同月比134.0%増の1664億4700万円となった。業種別では全業種で前年同月を上回った。

2020年交通事故死、過去最少に
閣議決定された2021年版「交通安全白書」によると、2020年の交通事故死者数は2839人となり、統計が残る1948年以降で最少となった。年間者数が3千人を割り込んだのは初めてで、新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛が拡がり、死亡交通事故が抑制されたことが要因とみられている。ピーク時の1970年の1万6765人から80%以上もの減少となった。ただ、年間者死者数に占める65歳以上の高齢者の割合は56.2%となり、統計が残る1966年以降で過去最大になった。