社会・経済ニュース
2022年02月15日号
日本のコロナ経済対策総額は293兆円
内閣府が発表した「日本経済に関する報告書」によると、新型コロナウイルス感染拡大で政府が行った経済対策の事業規模の総額が約293兆円に上ることが分かった。国内総生産(GDP)換算にすると54%に相当し、主要国の中で対GDP比では最も高くなっている。報告書では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に出されたことやワクチン接種が進んでいなかったことが景気回復の遅れにつながったとしている。この経済対策には201年11月に閣議決定された78兆9千億円は含まれておらず、コロナ対応での財政出動は一段と膨らむものとなっている。

国の借金、最大を更新の1218兆円
財務省は国の借金は2021年12月末時点で1218兆4330億円になったと発表した。国の借金は、国債と借入金、政府短期証券を合計したもので、2021年は新型コロナ対応で国債発行が膨らんだことで、前年同期より約6兆円増えている。国の借金を総人口で割ると、国民1人当たり約971万円の借金を抱えている計算になる。財務省では、2021年度末には約86兆円増え、約1304兆円になると見込んでいる。

企業物価指数、36年ぶりの高水準に
日銀は1月の国内企業物価指数(2015年=100)は109.5だったと発表した。1985年9月時の110.0以来の高水準だったことが明らかになった。企業物価指数は企業間で取引されるモノの価格を示すもので、円滑に販売価格に転嫁できなければ企業経営は収益が確保できないことになる。帝国データバンクの調査によると、1月後半時点で、約8割の企業で原材料価格高騰などの影響が出ていると答える一方、36.3%の企業が「価格転嫁が全くできていない」と答えている。

新型コロナで失われた婚姻数約11万件
東京大学の仲田教授らの推計調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、失われた婚姻数は2年間で約11万件に上ることが分かった。感染下にあって、経済的な不安が大きくなったことや出会いが減少したことが背景にある。また、これだけの婚姻数の増加がなければ、今後、数年で約21万人の出生数の減少につながることを指摘している。婚姻数や出生数は長らく減少傾向に歯止めがかからず、コロナがここにも大きな影を落とした。

ロシアのウクライナ侵攻、緊迫感増す
2月12日、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領とのウクライナ情勢に関する電話会談が行われたが、平行線をたどり、緊張状態が一段と増し、ロシア軍によるウクライナ侵攻の可能性が高まっている。会談でバイデン大統領は「侵攻となれば、広範囲にわたる人的被害が生じる」としたうえで、「米国は同盟国と共に断固対応し、迅速で厳しい代償を負わせる」と強い警告を発した。ロシア軍と米国をはじめとしたNATO軍との武力衝突となれば、世界的な経済的ダメージが懸念されている。

パックご飯の生産量過去最高を更新
農林水産省の発表によると、2021年のパックご飯の生産量は前年比4.3%増の23万4064トンだったことが分かった。6年連続で過去最高を更新した背景には、従来から需要が高かった単身や共働き世帯で重宝されていることに加え、新型コロナウイルス感染の広がりから巣ごもり需要も加わったことが挙げられている。生産量は10年前と比較すると、約7割も増加し、1個200グラムの標準サイズで換算すると約12億個製造されたことになる。

昨年の実質賃金、0.3%の微増
厚生労働省の毎月勤労統計2021年分によると、平均現金給与総額は月額31万9528円だったことが明らかになった。前年比0.3%の微増にとどまり、名目賃金から物価変動を差し引いた実質賃金指数は前年と横ばいだった。パートタイム労働者の残業代などの所定外給与は同6.7%減の2495円となり、コロナ禍で仕事が減っている状況が浮き彫りとなった。

シニアは「戦争のない社会」実現を希望
大和ネクスト銀行が60〜70歳のシニア世代と20代の若者を対象に世代間の意識ギャップの調査で、シニアは「戦争のない社会」、若者は「誰もが働きやすい社会」を第一に実現を望んでいることが分かった。実現したい社会を尋ねたもので(複数回答)、シニアは、「戦争のない社会」(61.2%)、「いじめ・ハラスメントのない社会」(58.8%)、「誰もが働きやすい社会」(52.2%)の順だった。一方、若者は、「誰もが働きやすい社会」(39.4%)、「いじめ・ハラスメントのない社会」(35.8%)、「出産や子育てがしやすい社会」(34.2%)の順だった。