社会・経済ニュース
2022年02月22日号
国際決済銀行(BIS)は日本の「円」の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」(2010年=100)で、1月の数値は67.55だったと発表した。1972年6月以来約50年ぶりの低水準だった。「円」の数値の低さは、円安の進行や物価低迷により「円」の購買力が落ちていることを浮き彫りにしている。数値が大きいほど、海外からのモノを安く購入することを意味しており、「円」の実力が下がっている状況にあることは、物価上昇の要因となり、川下である家計にとっては重しとなる。
米国半導体工業会は2021年の世界の半導体売上高は前年比26.2%増の5559億ドル(約64兆3千億円)になったと発表した。過去最高の売上高となり、5千億ドルを突破したのは初めてとなる。背景には、自動車や家電メーカーを中心に半導体不足が深刻化し、半導体メーカーが大幅に生産を拡大し供給したことが背景にある。内訳をみると、演算処理に使うロジック半導体が30.8%増、記憶装置に使うメモリが30.9%増、自動車や家電に使うアナログ半導体が33.1%増となっている。
財務省は2021年度の国民負担率は48.0%になるとの見通しを発表した。国民負担率は国民や企業が所得に占める税金や社会保険料の負担の割合を示すもので、前年度より0.1ポイント増となる。増加となった背景には、新型コロナ感染拡大により国民所得が減少したことで負担割合が高まったことが挙げられている。同省は、2022年度の負担率は国民所得が増加するとの見込みから前年度より1.5ポイント減の46.5%になるとの推計も併せて発表した。
自治労が保健所や保健センターの職員を対象に昨年1年間の労働実態調査を行ったところ、約23%が過労死ラインにあたる月80時間以上の時間外労働を経験したことがあると回答していることが分かった。新型コロナウイルス対応にあたったことが主因で、月200時間を超える職員も約1%いた。また、「この1年間でうつ的症状があったか」を尋ねたところ、約36%が「あった」と答えていた。感染拡大の前後で増加した業務を尋ねたところ、電話対応が最多で、事務作業、積極的疫学調査が続いた。
財務省は1月の貿易統計で貿易収支は2兆1911億円の赤字だったと発表した。2014年1月に次いで過去2番目の赤字額で、貿易収支の赤字は6カ月連続となった。輸出は世界的な経済回復を背景に前年同月比39.6%増の8兆5231億円と伸びたものの、原油高や円安の進行により輸入額が大幅に増加したことが貿易収支の赤字となった背景にある。エコノミストは「貿易収支は当面、赤字が続く可能性が高い」と指摘している。さらに、ウクライナ情勢で資源価格が高騰することが危惧されている。
文部科学省が医学部医学科を設置する全81大学が実施した2021年度の入試で、女子の平均合格率(13.60%)が男子の平均合格率(13.51%)を上回ったことが分かった。記録がある2013年度以降で初めて女子が逆転した。2013年から18年度までの6年間の全国の合格率平均は、男子が11.25%、女子が9.55%と1.18倍もの格差があった。同省では「男女でほとんど差のない結果で、女子への差別的な扱いがなくなったことが大きく影響したのではないか」と分析している。
日本取引所グループ傘下の大阪取引所で金先物の取引で指標価格が一時1グラム当たり7020円に上昇した。取引時間中として2020年8月7日に過去最高値(7032円)に迫るものとなった。高値となった背景には、ウクライナ情勢への警戒感が強まったことから、有事の「金」が買われた。「金」は戦争や経済危機に陥った際にも、価格が暴落しない「安全資産」であるとされており、金を求める投資家の心理で金価格が上昇する要因が背景にある。
観光庁の発表によると、2021年の日本人の国内旅行消費額は前年比8.5%減の9兆1215億円だったことが明らかになった。新型コロナウイルス感染拡大影響したことや、観光支援事業「Go Toトラベル」が再開できなかったことで最少を更新することとなった。2021年の延べ旅行者数は9.0%減の2億6711万人で、1人当たりの交通費・飲食などの旅行支出額は宿泊旅行で、平均4万8876円、日帰りでは1万7564円となっている。