社会・経済ニュース
2022年03月08日号
燃料補助上限、5円から25円に増額決定
政府はガソリンなどの燃料価格の急騰に対する追加支援策として、石油元売り会社に支給する補助の上限を1リットルあたり5円から25円に増額することを決定した。3月10日に適用される。このため、3606億円の予備費使用を3月4日の閣議で決定した。原油価格の高騰には歯止めがかからない状態の中、石油元売り会社への補助上限が5円では抑える効果は薄いとして、政府はさらなる上限引き上げに踏み切った。

金の小売価格、初めて8千円を超える
3月5日、地金大手の田中金属工業は金の小売価格を1グラム当たり8036円とすることを決めた。前日比78円高く、8千円を超えるのは初めて。同社の価格は国内の金小売価格の指標となる。金価格の高騰の背景には、ロシアのウクライナ侵攻という有事での安全資産である金への投資需要が強まっていることが挙げられている。また、格付け大手のフィッチ・レーティングとムーディーズ、S&Pグローバル・レーティングの3社はロシアの格付けを6段階引き下げており、一段と「有事の金」への投資意欲が増すものとみられている。

小麦価格、5割上昇の14年ぶりの高値
3月3日、シカゴ穀物市場で小麦先物は取引量が多い中心限月が前日比7%高の1ブッシェル(約27キロ)=11.34ドルで取引を終えた。年初からの上昇率は約5割に達し、2008年3月以来、約14年ぶりの高値となった。今後、日本では小麦の輸入価格が上昇し、パンや製麺などの食品の価格上昇となることは避けられない。2021〜22年度の小麦輸出量は1位のロシアが約3500万トンで、ロシアが侵攻したウクライナの輸出量(約2400万トン)と合わせて世界の約3割もの輸出量があり、紛争が長期化となれば、さらなる価格上昇は避けられない。

10〜12月期、全産業の経常利益24%増
財務省は2021年10〜12月期の法人企業統計で、全産業の経常利益は前年同期比24.7%増の23兆145億円だったと発表した。4四半期連続でのプラスとなった背景には、新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだ世界経済の回復を背景に幅広い業種の企業で利益が伸びたとしている。経常利益の金額は1954年4〜6月期以降で4番目の大きさとなった。ただ、ウクライナ情勢や新型コロナのオミクロン株の流行などの要因もあり、先行きは不透明感が増している。

経済的な男女格差、日本は103位に急落
世界銀行が公表した190カ国・地域の経済的な権利を巡る男女格差調査によると、日本は昨年の80位から103位に大きく後退した。調査は女性が置かれた不平等の実態を明らかにするため、職業や育児、年金などの8項目での評価の総合点をランキング化したもので、ベルギーやカナダなど12カ国が満点評価で首位となった。世銀では「格差是正の進展はあるものの、生涯所得を含めた男女格差は大きいままだ」と指摘している。

75歳以上の交通事故死亡率、過去最高
警察庁の統計によると、2021年の75歳以上のドライバーによる車やバイクの交通死亡事故は346件に上り、死亡事故全体(2289件)に占める割合が過去最高となる15.1%を占めた。車に限定して分析すると、操作ミスが3割以上を占め、ハンドル操作ミスやブレーキとアクセルの踏み間違いだった。高齢者の交通事故防止対策として、今年5月から「安全運転サポート車(サポカー)」の限定免許制度や、一定の違反履歴がある75歳以上に義務付ける運転技能検査(実車試験)がスタートする。

9割以上の世帯で「物価上昇」を予測
内閣府の消費者動向調査によると、2人以上の世帯の91.7%が「物価は1年後に上昇する」と予測していることが明らかになった。2013年4月以降で最も高い割合となった背景には、ガソリンや食品などの商品が相次いで値上げとなったことが影響しているとみられている。予測している物価上昇率を尋ねたところ、最多は「5%以上」が39.7%で、「2%以上5パーセント未満」(36.6%)、「2%未満」(15.4%)が続いた。向こう半年間の消費者心理を示す消費者態度指数は35.3で、3カ月連続での悪化となった。

下宿生の食費、初めて支出の2割を切る
全国大学生協連が実施した学生生活実態調査によると、下宿生の食費は月平均で2万4680円だったことが分かった。支出に占める食費の割合は19.7%で、2013年以降で初めて2割を割り込んだ。同生協連では「新型コロナウイルス禍などで食費も削る苦境が続いている」と分析している。収入面では、アルバイト月収平均は下宿生が2万9130円、自宅生が3万9860円だったが、コロナ禍以前には戻っておらず、大学生の窮状が伺える。