社会・経済ニュース
2023年03月21日号
財務省が発表した今年2月の経常収支は8977億円の赤字となったことが明らかになった。2月単月でみると、1979年以降では過去最大となった。2月の輸入は前年同月比8.3%増の8兆5524億円、輸出は6.5%増の7兆6547億円で、輸出入いずれも2月単月としては過去最大だった。貿易赤字は資源高が続いていることに加え、円安により輸入額が増えたことが背景にある。また、欧米は国内物価高対応で利上げを継続しており、日本からの輸出は低迷する流れにあり、今後も貿易収支は赤字で推移するものとみられている。
国立がん研究センターの発表によると、2014〜2015年に「がん」と診断された人の5年後の生存率は66.2%だったことが明らかになった。今回からの調査では患者一人一人が「がん」によって亡くなる確率を推計し平均値を出す「ネット・サバイバル」という算出法を採用しており、担当者は「より正確な数字になった」としている。部位別で5年後生存率をみると、前立腺がんが95.1%、乳がんが91.6%と高い一方で、小細胞肺がんが11.5%、すい臓がんが12.7%と低かった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は銀行に流動性を供給する融資残高が3月15日時点で1528億ドル(約20兆2千億円)になったと発表した。米シリコンバレー銀行の経営破綻を機に金融市場で不安が高まったことを受けて銀行に融資を積み増したもので、1週間前と比較して33倍に急増している。リーマン・ショック時を超える額となり、過去最高を記録している。日本の財務省と日銀は金融危機を招かぬよう、緊密な連携を図り、対応に万全を期すとしている。
警察庁の統計によると、2022年に全国の警察が摘発したサイバー犯罪は前年比160件増の1万2369件となり、過去最多意を更新したことが分かった。身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」の被害が前年比57.5%増の230件と急増しており、被害の半数が中小企業だった。被害のあった企業を業種別にみると、製造業(75件)で最も多く、サービス業(49件)、医療・福祉(20件)が続いた。被害企業へのアンケート調査で、復旧に要した期間は1か月未満が半数を占め、復旧費用は「1千万円以上5千万円未満」が最多だった。
日銀が発表した2022年10〜12月の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産の残高は過去最大の2023兆円となっていることが明らかになった。前年同月から0.4%増で、内訳では現金・預金が2.1%増の1116兆円、株式などは5.1%減の199兆円、保険・年金などは0.1%減の536兆円だった。また、同統計で、日銀が保有する国債は過去最大の546兆9301億円となり、国債発行残高に占める割合の52.02%を日銀が保有していることになる。
文部科学省と厚生労働省の調査によると、今春卒業予定で就職を希望する大学生の2月1日時点での就職内定率は90.9%だったことが分かった。この時期での内定率が90%を回復したのは3年ぶりで、コロナ禍以前の水準を回復したことになる。文科省では「コロナの影響が落ち着き、求人が回復傾向にある」としている。男女別の内定率では、男子が1.8ポイント増の90.1%、女子が0.4ポイント増の91.8%となっている。
厚生労働省の調査で、昨年の一般労働者の平均月給は前年から1.4%増の31万1800円になることが明らかになった。調査開始して以降、過去最高となった。男性の平均は34万2000円で、女性は25万8900円だったが、男女の格差は75.7ポイントで、これまでで最も縮小した。都道府県別にみると、最も高かったのは東京都の37万5500円で、最も低かったのは青森県の24万7600円となっている。
日本世論調査会が18歳以上の男女を対象にした世論調査で、84%の人が「大都市と地方の格差が拡大している」と答えていることが分かった。大都市と地方の格差が広がっている分野を尋ねると、「雇用・賃金」が最も多い67%で、公共交通(37%)、医療(30%)が続いた。また、政府が2014年に始めた地方活性化策「地方創生」について、79%が効果はなかったと厳しく評価していた。地方移住を増やす方策では「子育て支援などにより若い世代の移住を促す」(41%)が最多だった。