社会・経済ニュース
2023年08月15日号
生産額ベースの食料自給率、過去最低
農林水産省が発表した2022年度の食料自給率によると、カロリーベースの食料自給率は前年度と同じ38%だった。生産額ベースの自給率は過去最低の58%で、国際的な穀物価格の上昇や円安による輸入額が増えたことが起因している。また、同省は2021年度の都道府県別の食料自給率も発表しているが、カロリーベースで北海道が223%で5年連続首位となり、秋田県、山形県が続いた。食料自給率は、食生活の変化からコメの消費量が減少する一方、畜産物の消費が増加し、下落傾向が続いている。

約1か月半ぶりに円安、1ドル=145円
8月11日、ニューヨーク外国為替市場で円売り・ドル買いが強まり、1ヵ月半ぶりに1ドル=145円台に下落した。今年最安値となった背景には、米長期金利が一段と上昇するとの観測から市場で円売り・ドル買いが進んだ。同日、米労働省が発表した7月の卸売物価指数は前年同月比0.8%上昇し、変動が著しいエネルギーや食料品を除いたコア指数は2.4%上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)による長期金利利上げを打ち止めるとの予測が大きく後退したことが挙げられている。

2023年度の国民負担率は46.8%
財務省の発表によると、2023年度の国民負担率は46.8%を見込んでいることが明らかになった。国民負担率は、国民全体の所得総額である国民所得に対する税金と社会保険料の支払い負担の割合を示すもので、1970年代は約20%台で推移していたことを考えると、大きく負担が増していることになる。財政赤字を加えた「潜在的国民負担率」は53.9%と5割を超えている。国民負担率を諸外国と比べると、米国が30%台、英国が40%台、ドイツやフランスなどの欧州各国は50%を超えている。

6月の実質賃金、15ヵ月連続のマイナス
厚生労働省が発表した毎月勤労統計によると、6月の名目賃金を示す現金給与総額は46万2040円で、前年同月比2.3%増となり、18ヵ月連続でのプラスとなった。一方、労働者が受け取った給与から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比1.6%減少し、15ヵ月連続でのマイナスとなった。物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない実情にある。消費者物価指数は前年同月比3.9%上昇し、名目賃金を上回っている。

5割近くの企業で「人手不足感」
共同通信社が主要企業114社を対象にしたアンケート調査で人手不足感を尋ねたところ、49%の企業が「人手不足」「やや不足」と答えていることが分かった。人手が「過剰」「やや過剰」と答えた企業は2%にとどまった。このため、企業における対策では「新卒採用の拡大」が47%、「外国人労働者の受け入れ」が18%と採用を重視して取り組む姿勢を上げた。また、「賃金の引上げ」(38%)、「福利厚生の改善」(16%)も挙げられたが、採用重視の企業の姿勢が色濃く表れている。

タクシー乗務員、コロナ禍前より2割減
全国ハイヤー・タクシー連合会が全国60地域での法人タクシー乗務員数の推移を集計したところ、6月末時点での総数は23万2902人で、新型コロナ禍前の2019年3月末時点から約6万人近く減少していることが明らかになった。コロナ禍で利用客が減り、乗務員の離職者が増加したことが背景にあり、最近では利用客の回復に伴い、乗務員の人手不足が課題となっている。最も乗務員の減少率が大きかったのは鳥取県の28.2%で、北海道の都市部で26.2%が続いている。

60歳〜74歳の5割超、就労できず
リクルートの調査によると、60〜74歳の就労希望者で過去5年間の就職活動を尋ねたところ、53%が仕事探しをしても仕事が見つかっていないことが分かった。内訳をみると、「仕事が見つからずに探している」が24.0%、「見つからずにやめた」が21.8%、「仕事探しを羽占めたばかり」が7.9%となっている。一方、企業に高齢者の正社員採用に対する姿勢を尋ねたところ、66.5%が「積極的ではない」と答え、高齢者採用に及び腰な姿勢がみられた。

お忘れなく、来年4月相続登記が義務化
不動産登記法などの一部が改正され、2024年4月から土地・建物の相続登記が義務化され、手続きを怠った場合は10万円以下の過料が課されることになる。義務化の背景には、高齢化の進展から持ち主が不明だったり、連絡がつかないという「所有者不明」の増加が挙げられている。相続登記の義務化により所有者不明の土地を減らすとともに、土地の有効活用する狙いが挙げられている。義務化されたされたことで、相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に登記をしなければならないことになる。