社会・経済ニュース
2023年09月12日号
9月9日、日米欧の先進国に新興国を加えた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は「核兵器による威嚇や核兵器の使用は容認できない」ことなどを盛り込んだ首脳宣言を採択した。また、首脳宣言では世界経済に関して、食料やエネルギー価格の高騰、世界的な気候変動などを挙げた上で、「成長と安定に対する逆風が続いている」と指摘した。さらに、ウクライナ危機に関して「国家の領土保全主権、政治的独立に反する武力による威嚇や行使は控えなければならない」と明記した。
日本私立学校振興・共済事業団の調査で、今春入学者が定員割れした4年制の私立大学は53.3%に当たる320校だった。調査開始の1989年度以降で初めて半数を超えたことになる。18歳人口の減少が背景にあり、私大の経営を圧迫しかねない状況にあり、今後、私大の再編が加速する可能性がある。私大の規模別集計では、定員が3千人以上の大学の充足率は103.66%で、200人以上300人未満では87.39%で規模が小さくなるほど充足率が下がる傾向がみられた。
財務省は7月の国際収支速報で、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は2兆7717億円の黒字と発表した。前年同月比約3.1倍に達し、比較可能な1985年以降で7月としては過去最大となった。6カ月連続での黒字となった背景には、原油高の一服感から輸入額が減少したことや訪日客が増加したことから旅行収支の黒字額が過去最大となったことが挙げられている。
Job総研が20〜50代の男女を対象に「夏の働き方の理想像」を尋ねたところ、66.3%が「テレワークを希望している」ことが分かった。今夏の猛暑を背景に「仕事の効率を上げるため無理な出社は控え、集中できる形での勤務を望む人が多かった」と同社は分析している。夏にテレワークを希望する理由を尋ねたところ(複数回答)、「外が暑い」(76.1%)が最も多く、「移動による汗対策が面倒」(57.8%)、「テレワークの方が快適」(57.8%)、「身支度が面倒」(44.0%)が挙げられた。
9月1日のニューヨーク原油先物相場で、米国産標準油種(WTI)の10月渡しの終値が今年最高値を更新する1バーレル=85.55ドルを付けた。約9か月半ぶりの高値となった背景には、原油需給がサウジアラビアでの自主的な原油減産などから世界的にひっ迫するとの観測から買い注文が殺到した。日本では円安や政府の補助金の縮小が響き、ガソリン価格が最高値を更新している中で、原油相場の上昇は一段とガソリン価格を押し上げる要因となる可能性は高いとみられている。
子供家庭庁のまとめによると、2022年度に全国の児童相談所に児童虐待の相談を受け対応した件数は21万9170件に上ったことが分かった。前年度比5.5%増となり、過去最多を記録した。相談内容では暴言や態度などで心を傷づける心理的虐待が12万9484件で全体の59.1%を占め、次いで身体的虐待(5万1679件)、ネグレクト(3万5556件)、性的虐待(2451件)が続いた。虐待相談経路は、警察が51.5%と半数を占め、近隣・知人(11.0%)、家族・親戚(8.4%)となっている。
厚生労働省の発表によると、物価変動を反映した働く人1に当たりの実質賃金は前年同月比2.5%減となり、16カ月連続で減少していることが明らかになった。基本給や残業代、ボーナスなどを合わせた働く人の1人当たりの現金給与の総額は前年同月比1.3%増の38万656円と19ヵ月連続で上昇していた。賃金が上昇しているものの、物価上昇には追い付いていないことが背景にある。エコノミストは「政府による物価高対策が2024年中に縮小・終了することによる反動も考慮すれば、実質賃金マイナスは2024年夏場頃まで続く」とみている。
環境省は2021年度の一般廃棄物リサイクル率は全都道府県で19.9%だったと発表した。2020年度からほぼ横ばい状態で、政府が2025年度まで28%とする目標の実現には厳しい状況にある。環境省はプラスチックごみ一括回収を自治体に求める関連法が昨年施行されたことを踏まえ、再利用の加速を促していくとしている。ちなみに、都道府県別に一般廃棄物のリサイクル率が最も高かったのは、山口の32.5%で4年連続首位となった。