社会・経済ニュース
2023年10月31日号
2023年に日本のGDPは4位に転落
国際通貨基金(IMF)が発表した2023年見通しによると、日本の名目国内総生産(GDP)はドルベースで世界3位から4位に転落する見通しにあることが明らかになった。ドイツに逆転されるとの見通しの背景には、円安によりドル換算で目減りしたことに加え、物価変動が影響する名目GDPだけに、日本より高い物価上昇率が反映されたことが挙げられている。IMFが発表した日本の名目GDPは約4兆2308億ドル(約634兆円)で、ドイツは約4兆4298億ドルとなる見通しにある。

国民医療費が初めて45兆円を突破
厚生労働省の発表によると、2021年度に保険診療にかかった医療費の総額である国民医療費は45兆359億円となり、初めて45兆円を突破したことが明らかになった。コロナ禍で受診控えから一転して、2020年度から4.8%増加している。1人当たりでは前年度比1万8200円増の35万8800円だった。傷病別にみると、脳梗塞など循環器系の疾患医療費が全体の約19%を占める6兆1116億円だった。年齢別にみると、65歳以上が27兆3036億円で、全体の60.6%を占めた。

円安進行、一時1ドル=150円77銭に
10月26日の東京外国為替市場で1ドル=150円77銭を付け、昨年10月下旬以来、約1年ぶりに円安ドル高水準となった。これに伴い、日経平均株価も600円超の大幅な下落となるとともに、国債市場も10年債が売られて長期金利が上昇するといったトリプル安の状況となった。米国で発表された住宅関連の経済指標が市場予想を上回ったことから、経済の堅調さが確認され、長期金利が上昇し、日米の金利差拡大からドルを買って円を売る動きが広まったことが背景にある。

女性管理職3割以上占める企業は12%
東京商工リサーチの調査によると、女性管理職が30%以上占める企業は12.0%だったことが分かった。政府は女性役員比率30%以上と目標を掲げているが、半分にも届いていない実情にある。規模別にみると、女性管理職が30%以上の大企業は3.9%にとどまり、中小企業は12.9%だった。同社は「規模が小さい企業は事業拡大で管理職ポストを増やしたり、1人や数人を昇格させたりすることで割合が上がりやすい」と分析している。

IEA、石油需要は2030年ピークと予測
国際エネルギー機関(IEA)の2023年版「世界エネルギー展望」で、世界の石油需要は2030年より前にピークを迎えるとの予測を発表した。EVの普及や再生可能エネルギーの導入が進展することが背景にある。一方、石油輸出機構は2045年の石油需要は2022年比で約16%増えるとの予想を公表しており、IEA予測との違いを際立たせている。IEA予測では石油需要は2028年に日量約1億200万バーレルをピークに減少するとしている。

働く高齢者は過去最高の909万人
総務省統計局の労働力調査結果によると、2021年の65歳以上の高齢者の就業人口は過去最多の909万人となったことが分かった。2004年以降、18年連続で増加し続けている。65歳以上の就業率を男女別にみると、男性は前年より僅かに低下の34.1%だったが、女性は10年連続で増加の18.2%だった。高齢者の就業している業種を見ると、最も多いのは「卸・小売業」の130万人で、「農業・林業」(104万人)、「サービス業」(103万人)、「医療・福祉」(101万人)が続いている。

2022年の賃上げ実施企業は92%
独立行政法人労働政策研究・研修機構が従業員30人以上の企業1万社を対象に2022年の賃上げ状況を尋ねたところ、実施企業は92.9%だったことが明らかになった。賃上げした理由を尋ねたところ(複数回答)、「社員のモチベーションの向上、待遇改善」が最多の67.9%で、「最低賃金の引き上げに対応」(46.7%)、「社員の定着・人員不足解消」(41.5%)が挙げられた。機構では「人手不足などの対応から、社員が離職して条件の良い会社に移るのを防ぐ狙いがある」とみている。

季節性インフル、注意報レベルが続く
厚生労働省の発表によると、全国で報告された季節性インフルエンザの患者数は1医療機関あたり「16.41」人となり、9週連続で増加していることが明らかになった。今後4週間以内に大きな流行が起きる可能性を示す「注意報レベル」の目安となる「10人」を全国で上回っている。10月に「10人」を超えるのは、2009年以来、14年ぶりとなる。都道府県別にみると、愛媛県の39.90人が最多で、千葉県(29.39人)、埼玉県(28.41人)が続いている。