社会・経済ニュース
2025年05月20日号
内閣府は1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値が実質前期比0.2%減だったと発表した。マイナス成長は4四半期ぶりとなり、年率換算すると0.7%減となる。企業の設備投資は堅調だったものの、個人消費は食品をはじめ停滞している。米政権の高関税政策が国内企業に打撃となり、今後本格化しかねない状況にあり、日米政府の交渉次第でマイナス成長が続きかねない。現在のような日本経済のけん引役不在が続けば、一段の景気後退局面入りとなりかねない。
環境省は2023年度の国内の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で前年度比4%減の10億7100万トンとなり、前年度に続き過去最少を更新した発表した。減少要因として、電源構成に占める再生可能エネルギーと原子力発電の割合がそれぞれ3割を超えたことに加え、製造業の国内生産活動が減少しエネルギー消費量が減ったものと考えられている。政府が掲げる2050年まで排出量を実質ゼロにするとの目標実現に向け、同省では「減少傾向が順調に推移している」とみている。
財務省は2024年度国際収支速報で、経常収支の黒字額が前年度比16.1%増の30兆3771億円だったと発表した。前年度に続き2年連続で過去最大を更新したことになる。背景には、円安で訪日客の消費が好調だったことに加え、海外投資に伴う配当金などの黒字額が増加したことが挙げられている。内訳をみると、貿易収支は4兆480億円の赤字、旅行収支は6兆6864億円の黒字、海外投資に伴う配当金や利子などの第1次所得収支は41兆7114億円の黒字となっている。
インディードリクルートパートナーズの調べによると、2026年卒業予定の大学生の就職内定率は5月1日時点で75.8%に上ることが分かった。前年同期比3.4ポイント増となり、現行の採用日程となった2017年卒以降で最高となった。同社では「企業は優秀な人材を確保しないと事業存続の危機感を強め、選考を前倒している」と指摘している。内定先の職種をみると、「情報通信業」がトップの30.2%で、「製造業(機械以外)」(15.3%)が続いている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は主要政策金利を4.25〜4.5%に維持することを決定した。連邦公開市場委員会(FOMC)の3会合連続で維持することを決定している。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で「米政権が関税政策維持すれば、インフレ率の上昇、景気減速、失業率の悪化を招く可能性がある」としたうえで、「金融政策の変更を急ぐ必要はない。関税政策の影響が明確になるまで辛抱することが適切だ」と述べ、トランプ米大統領とは対峙的な見解を示した。
明治安田生命が全国の20〜79歳の既婚男女を対象とした家計調査で、平均貯蓄額は前年から260万円増の1563万円だったことが分かった。また、全体の96.3%が物価高による家計への影響を「(昨年より)感じる」と答え、48.6%が「支出が増えた」と答えていた。とくに昨年より値上がりしたと感じる食品は、米(87.9%)、野菜(82.6%)、卵(53.9%)の順となっている。20〜50代夫婦で夫のお小遣いは昨年から32円増の3万3071円と横ばいだった。
厚生労働省のまとめによると、新型コロナウイルスの感染拡大期に困窮世代を支えるために行われた特例貸付制度で昨年末までに返済期限となった2413億円のうち、1466億円が滞納になっていることが明らかになった。滞納は6割にあたり、同省は支援状況を検証しながら、都道府県社会福祉協議会を通じて、督促などの強化や就労や家計改善の支援といった取り組みを促すとしている。貸付金の返済は2034年まで続く見込みで、生活再建が進むことで滞納状況は改善すると見込んでいる。
野村総合研究所が20〜60代の企業勤務の男女正社員を対象に睡眠時間の充足度を調査したところ、全体の4割程度が「孤独を感じる」と答え、とくに20代の約45%が最多だった。孤独感を解消する手段として、20代の50%以上が「カフェスペースなどでの対話」に効果があるとしている。また、こうしたコミュニケーション活動全般に対し、95%が「会社からの補助金の支給が必要」とし、約70%が「(会社から)支給があれば参加する」としている。