社会・経済ニュース
2025年10月14日号
石破首相は戦後80年にあたり、「現在の文民統制の制度を正しく理解し、適切に運用していく不断の努力が必要だ」とする所感を発表した。今回の所管は閣議決定を経ない形で首相個人の所管の発表に至ったもの。首相は歴史に学ぶ重要性を説き、「他者の主張にも謙虚に耳を傾ける寛容さを持った本来のリベラズム、健全で強靭な民主主義が何よりも大切だ」と指摘したうえで、「二度とあのような戦禍を繰り返してはならない」と指摘した。
厚生労働省は2023年度に病気やけがの治療で医療機関に支払われた国民医療費の額は43兆915億円だったと発表した。前年度比3%増となり、過去最高を更新。背景には高齢化や医療技術の高度化、さらにインフルエンザ患者の増加が挙げられている。とくに、65歳以上の高齢者は79万7200円となり、65歳未満の21万8000円に比べ約3.7倍にも達し、65歳以上の医療費は28兆8806億円となり、全体の約6割を占めた。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、物価上昇を反映した8月の実質賃金は1.4%減少し、8カ月連続でマイナスとなった。同調査で労働者1人当たりの現金給与総額は30万517円となり、44ヵ月連続で上昇しているものの、物価上昇に追いついていない現状にある。同省では「春闘の効果などがあり賃金は伸びているが、物価が高い状況が続いていて実質賃金はマイナスが続いている」とみている。
法務省は6月末時点での在留外国人は395万6619人となり、昨年末に比べて5.0%増で、過去最多を更新したと発表した。日本の総人口に占める割合は3.21%に達し、出入国在留管理庁では今年末の見通しは415万人になるとしている。また、2025年上半期の外国人入国者数は前年同期比20%増の2137万6170人となり、年間を通じて4500万人規模に達し、過去最高を更新する可能性があるとしている。
経済協力開発機構(OECD)が2024年に実施した国際教員指導環境調査によると、日本の教員の仕事時間は1週間当たり小学校が52.1時間、中学校が55.1時間で、いずれもOECD加盟国で最長だったことが分かった。国際平均では、小学校が40.4時間、中学校が41.0時間だった。小中ともに、授業時間は国際平均より短かったものの、学校運営や事務の業務は長くなっている。文科省は学校や教員以外が担うべき業務を明示するなど働き方改革を進めているが、世界的に見ると依然として長時間労働となっている。
東京商工リサーチは2025年度上半期(4〜9月)の全国企業倒産件数は5172件だったと発表した。前年同期比1.5%増となり、上半期としては2013年度以来の高水準だったとしている。倒産の増加は上半期としては4年連続で、背景には人手不足や物価高による小規模企業の倒産が目立っている。人手不足倒産は202件で、内訳では人件費高騰(72件)、求人難(66件)、従業員退職(64件)だった。同社では「経営体力がない企業が雇用条件を向上させる大企業に追いつけずに小規模な企業が倒産に至っている」と分析している。
日銀の9月生活調査アンケートで、1年後の物価が現在と比較して「上がる」と答えた人が88%だった。食料品などの物価高を背景にインフレが長期化するとの見方が拡がっていることが鮮明だった。リーマン・ショック直前の2008年6月調査以来の高水準となった。また、現在の物価が1年前と比べて「上がった」との回答は94.8%となっていた。物価高を感じている生活者の声は高止まりを続けている。
調査会社インテージが15〜79歳の男女を対象にした調査で、「今後投じたい防災対策費」を尋ねたところ、防災対策費は平均5473円だったことが分かった。前年比4.8%減少しており、物価高に加え、能登半島地震での危機感が薄れていると同社では分析している。一方、防災対策ができているかを尋ねたところ、「できている」と答えた割合は1.8%にとどまり、「できていない」「どちらかといえばできていない」は43.2%に上っており、半数近くが防災対策の不備を指摘している。