社会・経済ニュース
2025年12月16日号
7〜9月期GDP、年率換算2.3%減
内閣府は2025年7〜9月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除く実質で前期比0.6%減、年率換算で2.3%減だったと発表した。11月の発表時の年率換算1.8%より下回った。背景には、米政権の高関税政策が輸出を下押ししたことに加え、資材価格や人件費の高騰が挙げられ、これよって設備投資の拡大ペースが低調となった。10〜12月期は個人消費や設備投資の回復が期待されているものの、エコノミストの一部は「米関税政策の影響が残り、不透明感がある」としている。

日用品販売の伸び率、コメが首位
調査会社インテージが2025年に売れた日用品の販売額の伸び率を調査したところ、コメが前年同期比62%で首位となったことが分かった。コメは昨年来の「令和のコメ騒動」が反映したもの。2位はインバウンド(訪日客)需要でカルシウム剤が23%上昇し、3位には主要産地であるブラジルの異常気象や円安が反映したコーヒー豆の高騰からインスタントコーヒーが19%もの伸びを示した。同社では「値上がり分がそのまま販売額の上昇になった」と分析している。

日銀短観、大企業・製造業でプラス15
日銀は12月の企業短期経済観測調査で、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)で、大企業・製造業で9月調査から1ポイント改善のプラス15だったと発表した。改善は3四半期連続での改善で、米政権での高関税の影響が当初の想定より小さかったことに加え、円安で輸出企業の業績を支えているとの見方が広がったものとみられる。一方、大企業・非製造業は9月調査時点のプラス34は横ばいだった。

子ども食堂、過去最多の12,601カ所
認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の調査で、子どもに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」は全国計1万2601カ所で開設されていることが分かった。過去最多となった背景には、行政や企業、地域団体との連携が進んだことに加え、政府による支援があったことが要因とされている。一方、子ども食堂を運営ものに困りごとを尋ねたところ(複数回答)、「運営資金不足」「支援のための周知・広報」が最多の47.2%で、次いで「運営スタッフ・ボランティアの不足」(42.2%)が挙げられた。

2025年補正予算案、衆院本会議で可決
12月11日、衆院本会議で2025年度補正予算案が可決した。今次の補正予算案は18兆3000億円規模で、ガソリンの暫定税率廃止をはじめ、子どもへの一律2万円給付、電気・ガス料金の補助、地方交付金による食料品支援など物価高対策など。予算規模は昨年より約4兆円以上も膨らみ、新型コロナウイルス禍後で最大の規模となった。補正予算には、政権が掲げる危機管理投資の約6兆円や防衛力強化の1.7兆円も含まれている。

冬季賞与、支給額増は僅かに減少
帝国データバンクの調査によると、2025年冬季賞与の従業員1人当たりの平均支給額が「賞与はあり、増加する」企業は22.7%で、前年の23.0%から僅かに減っていることが分かった。一方、「賞与はあり、変わらない」企業は44.7%で、前年の43.3%から1.4ポイント増加していた。冬季賞与の支給額はほぼ前年並みで、増加の伸びは限定的なことが浮き彫りとなった。

所得税の申告漏れ総額は9317億円
国税庁は2024年7月から1年間の所得税税務調査で申告漏れ件数は36万8727件で、申告漏れ総額は9317億円に上ると発表した。申告漏れに対する追徴課税した総額は9317億円に上り、前年度を33億円上回り、過去最高額となった。同庁はeTaxなどで申告されたデータをAI活用した効率的な調査を実施した結果だったとしている。業種別で1件当たりの平均申告漏れ所得金額が最も多かったのは「キャバクラ」だった。

今年の漢字は「熊」、2位の「米」に僅差
2025年の世相を表す「今年の漢字」に「熊」が選ばれた。選ばれた理由として、日本各地で熊の出没が相次ぎ人身被害者数・死亡者数が過去最多を記録したことが挙げられている。また、市街地での目撃が相次ぎ、全国各地でイベントの中止や学校の休校、農作物の被害も深刻化した。一方、2位には180票の僅差で「米」が選出された。米価格の高騰や買い占め、昨年から続く政府の備蓄米の放出といった「令和の米騒動」が大きく影響したものとなっている。